早田ひな選手は2022年以降何度も中国人トップ選手と対戦しました。惜しい試合はあっても勝たせてくれない状況が長く続きましたが、2023年世界卓球選手権ダーバン大会でついに中国超えを果たしました。
そして世界卓球2024釜山大会の決勝で、過去7戦全敗だった陳夢選手についに勝ちました。
早田ひな選手はパリオリンピックで中国人選手に勝って金メダルを獲得することを目標にしています。これはその過程で中国人トップ選手に挑んだ対戦の記録です。
*アイキャッチ画像はこちらの記事からの引用です。
前説
- 2021年12月以降の、中国四天王との対戦を抽出しています。
- 中国四天王とは孫穎莎選手、陳夢選手、王曼昱選手、王芸迪選手を指します。
- 時系列順に並んでいます。
- 各試合の詳細記事へのリンクを貼ってあります。
対戦成績一覧
2023年に14回も対戦しています。
中国四天王との対戦で勝てたのは、王芸迪選手に2回、陳夢選手に1回です。
2021年
12月 世界卓球ヒューストン大会 Round 16
王芸迪選手との初対戦でした。
王芸迪選手、めちゃくちゃ強かったです。
12月 WTTカップファイナルズ2021 準決勝
孫穎莎選手と対戦しました。あと一歩が遠いのは、相応の実力差があるためですね。
試合に勝利した後の孫穎莎選手の振る舞いに、こんなに強くて素晴らしいライバルが同世代にいることを感謝せずにはいられません。
2022年
3月 シンガポールスマッシュ2022 準々決勝
孫穎莎選手と対戦しました。
孫穎莎選手は安定して強いです。試合後のインタビューにあった「孫穎莎選手と試合をすることで自分自身が強くなっていると感じる」が印象的でした。
7月 WTTスターコンテンダーESS2022 準々決勝
孫穎莎選手と対戦しました。質の高いラリーになることが多いのですが、ラリー力が高い孫穎莎選手が試合を制しました。
孫穎莎選手に勝つにはラリー力の差を詰めないといけないですね。中国のトップ選手はみんなそうなんですが。
7月 WTTチャンピオンズESS2022 準々決勝
陳夢選手と対戦しました。陳夢選手は右肩の故障明けで万全な状態ではなかったのですが、それでも強かったです
陳夢選手は万全の状態ではなかったとは言え、あと少しで倒せるところまで戦えました。この試合は早田ひな選手にとって、現状を確認する上でまたとない機会になったことでしょう。
11月 2022アジアカップ 準決勝
王芸迪選手と対戦しました。故障明けだし、いろいろと実力差を感じる結果となりました。
ラリー戦で打ち負けるのはしょうがないとして、この試合では凡ミスと思えるプレーが目立ちました。ケガによる休養明けで、これが精一杯だったのでしょう。
そして卓球の神様は、半年後に世界卓球選手権のメダル決定戦での再戦を用意してくれたのでした。
2023年
4月 WTTチャンピオンズシンシャン2023 準々決勝
陳夢選手と対戦しました。あと一歩のところまで迫りましたが、勝てませんでした。間違いなく世界最高水準の試合でした。
惜しかったです。負けはしましたが、あの陳夢選手を相手にここまで互角の戦いができたことは大きな自信になったはずです。2021年以降の国際大会では間違いなく最強の早田ひな選手でした。
試合後のインタビュー動画の要約。(中国で中継された動画のようですが、WTTのアーカイブにはありません。)
自分の中では人生の中で一番中国人選手といい試合ができたんですけど、最後勝ち切ることができなくてすごく悔しいです。
次、マカオの試合がありますが、まずはしっかり休養して、1回戦目からいい状態で入れるように、そしてまたこのレベルの中国人選手と当たって次こそ勝てるように頑張りたいと思います。
4月 WTTチャンピオンズマカオ2023 準々決勝
陳夢選手と対戦しました。1週間前は惜敗だったのに、この試合は完敗でした。
陳夢選手は早田選手への対策が徹底していたのに対し、早田選手はこれまで確実に決められていたプレーでミスを連発してしまいました。陳夢選手、恐ろしい強さでした。
5月 世界卓球2023ダーバン大会 準々決勝
王芸迪選手と対戦しました。フルゲーム、21-19の死闘を制した、卓球史に残る大激戦になりました。
やっと、中国超えを果たせた試合でした。早田ひな選手の卓球人生の転換点になったはずです。
ミックスゾーンでのインタビュー。
5月 世界卓球2023ダーバン大会 準決勝
(準々決勝で王芸迪選手に勝利した翌日に)孫穎莎選手と対戦しました。孫穎莎選手の強さは別次元でした。
第3ゲーム以降は早田選手らしい戦い方ができるようになりました。実力差はとても大きいですが、絶望的ではありません。勝つのに何が足りないかを、孫穎莎選手はこの試合を通じて教えてくれました。
ミックスゾーンでのインタビュー。
6月 WTTコンテンダーザグレブ2023 準決勝
孫穎莎選手と対戦しました。実力差を感じる試合になりました。孫穎莎選手、強すぎます。
第2ゲーム、第3ゲームともに9-11でしたが、内容的には孫穎莎選手に圧倒された試合でした。孫穎莎選手は早田選手のサーブ、レシーブを読み切って得点につなげたのに対し、早田選手はラリー戦の勝率を上げるのが遅かった上に、フォアハンドの強打もミスになることが多かったです。現在の弱点・課題をたくさん教えてくれる試合になりました。
7月 WTTスターコンテンダーリュブリャナ2023 準々決勝
孫穎莎選手と対戦しました。1週間前のWTTコンテンダーザグレブ2023の準決勝の再戦になりました。勝利まであと一歩のところまで迫りましたが、届きませんでした。惜しかったです。
先週とは別人のような戦いぶりで、世界女王との差が縮まったことを確信できました。先週のコンテンダーで平野美宇選手が孫穎莎選手を倒して優勝ことも刺激になったはずです。努力の方向は間違っていません。いずれ、早田選手にも倒せる時が来ます。
試合後のインタビュー。
9月 アジア選手権大会 団体戦準決勝第1試合
孫穎莎選手と対戦しました。
早田選手の仕上がりは申し分ないのに、孫穎莎選手が強すぎました。試合後半は接戦になりましたが1ゲームも取らせてもらえませんでした。
9月 アジア選手権大会 シングルス準々決勝
孫穎莎選手と対戦しました。完敗でした。
第1、第2ゲームは圧倒され、第3ゲームは何とか取り返したものの、孫穎莎選手の強さが際立つ試合になりました。早田選手、国内選考会なら優勝できるパフォーマンスだったと思うのですが、孫穎莎選手の強さは異次元でした。
インタビュー記事。「収穫はあった。さらに精度を上げていく。」
9月 アジア競技大会 団体戦決勝第1試合
孫穎莎選手と対戦しました。第2ゲーム以降は接戦になりましたが、勝てませんでした。
スコア的には接戦なんですが、早田選手の得点はサービスエースに頼っていた傾向があり、実力差を感じました。孫穎莎選手は強すぎますね。
9月 アジア競技大会 シングルス準決勝
王芸迪選手と対戦しました。世界卓球2023ダーバン大会の準々決勝で、卓球史に残る激闘を制して勝利しています。中国ナショナルチームでは、中国以外の同じ選手に2度続けて負けると首脳陣の評価が激落ちすると言われており、王芸迪選手はここで負けたらパリオリンピックはないぐらいに思って臨んだはずです。
再度フルゲーム・デュースの激闘を制して勝利し、決勝進出を決めました。勝利の瞬間、頭を抱えてしゃがみ込みましたが、笑顔炸裂で涙はありませんでした。
9月 アジア競技大会 シングルス決勝
(準決勝で王芸迪選手に勝利した翌日に)孫穎莎選手と対戦しました。第2ゲーム以降は良い展開も増えましたし、1ゲーム取ることもできましたが、孫穎莎選手の強さは異次元です。
負けはしたものの、明らかに孫穎莎選手を必死にさせられたし、収穫の多い試合だったはずです。
インタビュー記事。
11月 WTTチャンピオンズフランクフルト2023 準決勝
王曼昱選手との初対戦でした。王曼昱選手が強すぎて完敗でした。実力差を認めざるを得ない結果となりましたが、この時期がそれが分かって良かったです。
サーブが効かない、レシーブに苦労させられる、ラリー戦では先に厳しいコースに打たれて返せない、と課題が多く見つかった対戦になりました。王曼昱先生は今の早田ひな選手に足りないところたくさん教えてくれました。
試合後のインタビュー。
12月 混合団体ワールドカップ2023 ステージ2
王曼昱選手と対戦しました。ミスが多く、反省点の多い試合になりました。
エース起用に応えることができず責任を感じ、悔しい思いをしているはずですが、収穫の多い敗戦でした。今大会A・ディアス選手に負けている王曼昱選手は、パリオリンピック出場をかけてこの試合に臨み、早田ひな選手の弱点、足りないところを教えてくれました。
また、実践中のスタイルチェンジの成果が出たと思われるプレーもいくつかあり、努力の方向性が間違っていないと確認できたはずです。
12月 WTT女子ファイナルズ名古屋2023 Round16
陳夢選手と対戦しました。今年3回目の対戦になりました。
早田ひな選手は調子が悪い時に良くやる凡ミスはほとんどなく、陳夢選手の強さ・巧さにやられてしまいました。陳夢選手、とんでもなく強かったです。
試合後のインタビューで珍しく悔し涙を見せました。
2024年
1月 WTTスターコンテンダードーハ2024 準々決勝
孫穎莎選手と対戦しました。世界最強女王は今回も勝たせてくれませんでしたが、早田ひな選手の進化を確認できた試合でした。
WTTスターコンテンダーリュブリャナ2023の準々決勝に続く、フルゲーム9-11での惜敗でしたが、この試合の方が孫穎莎選手との差が縮まったと実感できました。
2月 世界卓球2024釜山大会(団体戦) 決勝第2試合
陳夢選手と対戦しました。過去7戦全敗でしたが、ついに勝ちました。
WTT女子ファイナルズ名古屋2023で負けて悔し涙を流してから2ヶ月、陳夢選手に勝てるレベルにまで来ていることを実証できました。
2月 世界卓球2024釜山大会(団体戦) 決勝第4試合
孫穎莎選手と対戦しました。完敗でした。孫穎莎の強さは異次元でした。
心が折れそうになる敗戦でしたが、早田ひな選手はしっかり前を向いています。
「今日のこのコンディションで孫穎莎選手に0−3でやられた。今の感覚だと自分は陳夢選手や王芸迪選手とは勝ったり負けたりくらいのレベルになってきていると思うんですけど、孫穎莎選手はもう3つくらい上にいるなと感じた。そこに到達するためには、まだまだやらなければいけないことがたくさんある」
「相手が中国だからしょうがない、とはならないように、自分のことを真のエースだと自信を持って言えるように、もっと頑張っていかなきゃいけないなと思います」
3月 WTTチャンピオンズ仁川2024 準々決勝
孫穎莎選手と対戦しました。前回対戦時よりサーブ、レシーブが改善されてフルゲームにできましたが、勝つにはまだ数歩足りないことを痛感させられました。
14連敗でしたが、努力の方向性が間違っていないことを再度証明できた試合でした。
4月 ワールドカップマカオ2024(個人戦) 準々決勝
王曼昱選手と対戦しました。半年前のWTTチャンピオンズフランクフルト2023では完敗でした。今回も勝てませんでしたが、試合内容ははるかに良くなっており、努力の方向性が間違っていないことを改めて証明しました。
5月 サウジスマッシュ2024 準決勝
陳夢選手と対戦しました。1ヶ月前に初めて勝ちました。競った展開になることを期待していましたが、強くて隙のない陳夢選手に完敗を喫しました。1ヶ月前とは別人でした。
5月 WTTチャンピオンズ重慶 準々決勝
孫穎莎選手と対戦しました。最近さらに強くなった孫穎莎選手に1ゲームも取らせてもらえずストレート負けでした。トマホークサーブを試したり、これまで見たことのなかった積極的なプレーもあって、単に負けましただけではない、確かな収穫もあった試合でした。
8月 パリオリンピック2024 シングルス準決勝
孫穎莎選手と対戦しました。孫穎莎選手が強すぎるのと、早田ひな選手のコンディションが100%でなかった(左腕を怪我していた)ことで完敗でした。
中国四天王との選手別対戦記録
四天王以外の中国人選手との対戦記録
日本人選手が中国人トップ選手に勝利した試合
中国人トップ選手にはめったに勝たせてもらえませんが、それでも日本人選手が勝つ試合は増えてきています。団体戦で中国チームに勝って優勝する日は必ずやってくると信じています。