アジアカップは2022年11月を最後に2年間開催されませんでしたが、2025年2月に新しいフォーマットで開催されることになりました。参加選手数、試合数共に大幅に増えました。
早田ひな選手は予選ラウンドを2位で通過し、決勝ラウンドの初戦で陳幸同選手に負け、結果ベスト16でした。陳幸同選手との実力差を感じる試合内容でしたが、大きな収穫になったはずです。
*アイキャッチ画像はテレビ東京卓球情報のXポストからの引用です。
大会の仕様
- アジア地区から出場資格を得た男女32名が出場。
- 各協会からの最大出場可能選手数(NER)は4名。
- アジアカップ、アジア選手権大会の優勝者はNER外で出場資格を獲得。アジアカップとアジア選手権大会の優勝者が重複している場合や、出場資格のある選手が出場しない場合は、他の適切な選手に出場資格を付与するルールあり。
- ホスト国の推薦枠は1名。
- シングルスのみ、決勝トーナメントの準々決勝以降は7ゲームマッチ、他は5ゲームマッチ。
- 1グループ4選手からなる8グループがラウンドロビン形式の予選リーグを行い、上位2選手が決勝トーナメントに進出。(予選リーグは全員3試合戦う。)
- 予選グループの選手分けはWR順で行われ、同一協会の選手は同じグループには入りません。
- 予選ラウンドを1位通過した8名の選手はシードされます。残りはランダムドローです。同一協会の選手の分離はありません。
- が、予選ラウンドの2位通過者は同じグループの1位通過者とは反対の山でドローされます。
- 3位決定戦あり。
- 最終日以外はテーブル3台による進行。
- 優勝選手には500ポイントが付与されます。
従来より選手数は倍に、NERも倍に、試合数は最大4から最小3、最大7に増えました。日本人女子選手が決勝に進出する難易度は、大幅に上がったと言えるでしょう。
大会情報
- 期間:2月19日から23日
- 場所:中国の深圳(日本との時差1時間、現地10:00が日本の11:00)
- 出場種目:シングルス
- 参照:ATTU公式サイト、日本卓球協会公式サイト
ネット中継
- ATTUのYoutubeチャンネルが全試合リアルタイム配信しました。
- テレビ東京卓球チャンネルは配信に参加しませんでした。
- リアルタイム視聴できなくても、おおむね12時間以内にはテレビ東京卓球チャンネルにアーカイブがアップされました。ありがたいです。
出場選手
出場選手32名のシード表です。アジアで強い選手=世界で強い選手なので大変です。
引用:ATTU公式サイト
早田ひな選手はWR5位で第5シードでした。
日本人選手で出場したのは早田ひな選手、張本美和選手、伊藤美誠選手、大藤沙月選手、平野美宇選手でした。
平野美宇選手が出場権を得た理由
当初日本人女子選手で出場資格が与えられたのは、早田ひな選手、張本美和選手、大藤沙月選手、伊藤美誠選手の4名でした。ところが2024年アジア選手権大会優勝者のキム・クムヨン選手(北朝鮮)が棄権したことにより、平野美宇選手が選出されました。
予選ラウンド:2位通過
早田ひな選手の第5グループには、鄭怡静選手、オラワン・パラナン選手、ヤシャスウィニ・ゴルパデ選手が入りました。難敵ばかりです。
鄭怡静選手に負けてしまい1位通過はできませんでしたが、2位であっても決勝ラウンドに進めてよかったです。
第1試合
タイのオラワン・パラナン選手との対戦でした。
オラワン選手が強くて負けそうでしたが、「逆点の早田」を発動して勝ちました。ものすごく心臓に悪かったです。
- 第1ゲーム、精度の高いプレーで5-0と大量リードしますが、すぐに5-5に追い付かれます。8-8まで競った後、オラワン選手が強さを見せて8-11でこのゲームを落としてしまいます。オラワン選手、手強いです。
- 第2ゲーム、オラワン選手は早田選手のボールにタイミングが合っているようで、防戦一方の展開が続いて2-8と大量リードを許します。ここから持ち前の粘りと修正力を見せて9-9で追い付き、10-9と先にゲームポイントを握ります。デュースに持ち込まれますが、踏ん張って13-11でこのゲームを取り返します。
- 第3ゲーム、流れをつかめずリードを許す苦しい展開が続きます。オラワン選手はフォアストレートが驚異的に上手いです。このゲームは勝てる感じなく7-11で落としてしまいます。が、徐々にプレーに早田選手らしい躍動感が出てきました。
- 第4ゲーム、接戦で競った展開が続きますが、ようやく早田選手らしいプレーでリードできるようになります。勝負どころの9-8でのサービスエースでは早田選手と岡トレーナーの咆哮がコートに響きます。最後苦しいラリー戦を粘って取り、フルゲームに持ち込みます。早田選手はXで「フルゲ職人」と呼ばれています。
- 最終第5ゲーム、レシーブが良くなり、サーブも効くようになって早田選手がリードを広げる展開が続きます。あれだけレシーブに苦労していたのがウソのようです。負けそうだった試合とは思えないような展開で11-1で勝利し、全世界の早田ファンに向けて安堵のひなスマイルを披露しました。
どの大会でも初戦は鬼門になりがちですが、今日のオラワン選手は振れば入る状態で恐ろしく強かったです。危ない試合でした。第2ゲームを大逆転で取り返せていなかったら、負けていたと思います。この1勝は非常に大きいです。
またサーブのコントロールをこの試合で修正できたのも収穫でした。
フル動画。
試合結果を伝える記事。
第2試合
台湾の鄭怡静選手との対戦でした。
鄭怡静選手が強く、今日は早田ひな選手にミスが多く、勝てませんでした。
- 第1ゲーム、ストップ、ツッツキでボールを浮かしてしまうことが多く、ペースを作れません。レシーブをバックハンドで積極的に攻めた時は良いです。最後投げ上げサーブからの3球目攻撃を決めて11-9でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、状態の良い鄭怡静選手に対し、早田選手はミスが多くリードを許す展開が続きます。調子が上がりません。8-11でこのゲームを落とします。
- 第3ゲーム、早田選手の調子が上がらないまま7-11でこのゲームも落としてしまいます。フォアハンドでのレシーブがダメダメです。
- 第4ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続きます。調子が上がらない中なんとか11-8でこのゲームを取り返します。
- 最終第5ゲーム、この試合を象徴するかのような展開になります。いつもなら決まっているショットが決まりません。流れをつかめないまま5-11で負けてしまいました。
今日の調子では、状態の良い鄭怡静選手に勝てませんでした。明日の試合までに調整して、良い状態で臨んで欲しいです。
フル動画。
第3試合
インドのヤシャスウィニ・ゴルパデ選手との対戦でした。バック面が異質ラバーです。
異質ラバーに苦労することなく、しっかり勝ちました。
- 第1ゲーム、サーブが効き、レシーブに苦労することなく、狙い通りの組み立てでリードを広げます。危なげなく11-3でこのゲームを取ります。昨日とは別人のようです。
- 第2ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続き、8-8まで競ります。そこからサーブ3球目がエッジで入りますが、こういう運も大事です。9-8からゴルパデ選手のスマッシュをカウンターブロックし、(昨日とは違う)仕上がりの良さを伺わせます。最後は打ち合いを制して11-8でこのゲームも取ります。このゲームを取れたのは大きかったです。
- 第3ゲーム、流れをつかんで6-1と大量リードしますが、そこからゴルパデ選手の逆襲に会って7-6になります。でも今日はサーブが効いているとレシーブが上手く行くので攻撃を組み立てやすく、リードを広げます。避けたい打ちミスもありましたが、11-7で勝ち切って、決勝ラウンド進出を決めました。
昨日は強い鄭怡静選手に勝つのは困難という状態でしたが、今日はしっかり修正して昨日とは別人のような仕上がりでした。
フル動画。
決勝トーナメント:ベスト16
決勝トーナメントのドローです。早田ひな選手は予選ラウンド2位通過だったため初戦で陳幸同選手と当たることになりました。
引用:テレ東卓球情報のXポスト
そして2ゲーム先行したものの逆転されて負けてしまい、実力差を感じる結果になりました。それでも、予選ラウンド敗退も有り得たこの大会で、陳幸同選手を戦えたことは大きな収穫になったはずです。
Round 16(1回戦)
陳幸同選手との対戦でした。シンガポールスマッシュ2025の準々決勝で対戦しています。
2ゲーム先行したのですが、その勢いのまま押し切れず、逆転負けを許してしまいました。
- 第1ゲーム、0-4と苦しいスタートでしたが5-5で追い付きます。良く声が出ています。今日はレシーブが積極的です。最後激しい打ち合いを制して11-9でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、早田選手がリードを広げる展開が続いて9-5とします。ここから追い上げられて9-9となり、ラリー戦を制して10-9とゲームポイントを握りますが、デュースに持ち込まれます。それでも勢いでこのゲームを12-10で取って、ゲームカウントを2-0とします。今日は勝てるかも知れないと思いましたが、甘かったです。
- 第3ゲーム、早田選手にミスが増え、陳幸同選手の本来の厳しいコースを突く攻撃が増えてリードされる展開になります。5-11でこのゲームを落とします。
- 第4ゲーム、早田選手がらしくないミスを連発して4-11でこのゲームも落としてしまいます。第1、第2ゲームの精度の高いプレーが見られなくなってしまいました。
- 最終第5ゲーム、陳幸同選手がラリー戦に強い四天王の怖さを発揮します。早田選手のプレーも良くなり6-6まで競りますが、そこからもったいないミスが続いて(陳幸同選手に心理を見透かされているかのよう)流れを渡してしまい、8-11で敗戦となりました。
勢いで勝つにしても足りないものが多かった気がします。実力差が感じる結果になりましたが、この大会で(再度)陳幸同選手とフルゲームを戦えたことは大きな収穫になったはずです。
フル動画。
試合結果を伝える記事。
まとめ
- 予選ラウンドの初戦でオラワン選手に負けそうになりながら勝ちましたが、2日目の仕上がりでは強い鄭怡静選手に勝てませんでした。
- 3日目はインドの異質ラバー選手に快勝し、予選ラウンドを2位で通過しました。
- 予選ラウンド2位通過だったため、決勝ラウンドの初戦で陳幸同選手と当たるドローになりました。できれば予選ラウンドを1位通過して、初戦で四天王と当たるのを避けたいところでした。
- 陳幸同選手に2-0からの逆転負けを喫してしまい、実力差を感じる結果になりましたが、大きな収穫を得られた大会になったはずです。
続いていた体調不良
2月24日のTリーグに出場予定でしたが、体調不良によりキャンセルとなりました。このことについて早田ひな選手はインスタグラムストーリーズで次のように話しています。
- シンガポールスマッシュの大会期間中から断続的な微熱があり、それが現在も続いている。
- 試合が続くので(2週間後にはチャンピオンズ重慶2025がある)1日でも早く元気な姿でコートに立てるよう頑張りたい。
しっかり休んで元気になり、次の大会でコートを駆け回るところを見せて欲しいです。応援しています。
早田ひな選手の体調不良について触れた記事。
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