国際大会

ワールドカップマカオ2024(個人戦)の結果詳細

ITTFが主催していたほとんどの大会は、2021年からWTTシリーズに置き換えられました。ワールドカップ(個人戦)はWTTファイナルズに代わり、ワールドカップ(団体戦)は廃止されました。ところが団体戦は、2023年12月に新フォーマットによる混合団体ワールドカップとして復活しました。

そしてWTTファイナルズに取って代わられたはずのワールドカップ(個人戦)は、2024年に突然復活しました。それがワールドカップマカオ2024(個人戦)です。

早田ひな選手は強い申裕斌選手との激戦を制して準々決勝に進みましたが、王曼昱選手に負けてベスト8でした。

*アイキャッチ画像はテレ東卓球情報のXポストからの引用です。

ワールドカップ(個人戦)

試合形式は複雑です。

  • ITTFが指定した選手48名が出場します。各協会から最大4名が出場できます。
  • 現在の世界チャンピオン(孫穎莎選手)とU19の世界チャンピオン(蒯曼選手)の2名は別枠で出場できます。そのため中国人選手は6名出場します。
  • 3名ずつの16グループに分かれてグループリーグ形式の予選ラウンドを行います。各グループは4ゲームずつ2試合戦って、最高勝率の選手が決勝トーナメントに進出します。
  • 予選ラウンドでは必ず4ゲーム戦い、その結果は4-0、3-1、2-2、1-3、0-4のどれかになります。1試合目が2-2だった場合、2試合目を3-1で勝てたとしても、もうひとつの試合の試合結果が4-0だと予選敗退となります。この試合形式は今回初めて導入されたものです。
  • 予選ラウンドの順位決めには、勝利ゲーム数が使われ、これが同数だった場合、総得点数と総失点数の比が使われます。実際には複数パターンあり、複雑です。
  • 予選ラウンドのグループ分けには最新の世界ランクが使われ、4名ずつの区切りでドローが行われます。ドロー運の要素は無視できないものの、納得できる水準と言えます。
  • 予選ラウンドでは同一協会からの選手は同一グループに入らないように調整されます。
  • 決勝トーナメントは、予選ラウンドを1位通過した16名で戦います。シード数は4しかないので、ドロー運の要素が強いです。
  • 決勝トーナメントでは、同一協会からの選手が対戦することへの配慮はなされません。
  • 決勝トーナメントはすべて7ゲームマッチで行われます。また以前のワールドカップと異なり、3位決定戦はありません。
  • 試合は男女ぞれぞれテーブル1台で進行されます。
  • 優勝選手には1,500ポイントが付与されます。

以前のワールドカップでは、シード選手は本戦から出場、シード外の選手のみが予選ラウンドを戦う形式でした。新形式は世界ランク上位16名の選手にとって、決勝トーナメント進出するための壁が厚いものになっています。雰囲気的には、WTTが推進していいる商業化の影響を受けたように思えます。

最悪だった予選ラウンド通過ルール

今大会で初採用された、予選ラウンドでは必ず4ゲームを戦い、勝利ゲーム数が同じ場合は総得点数と総失点数の比で1位通過者を決めるというルールは問題の多いものでした。最悪でしたね。今大会限りで廃止して欲しいです。

大会情報

ネット中継

  • テレビ東京卓球チャンネルが全試合をリアルタイム配信しました。T1は男子、T2は女子の2台進行です。
  • リアルタイム視聴できなくても、おおむね24時間以内にはテレビ東京卓球チャンネルにアップされました。ありがたいです。

シングルス出場選手

WR上位36名の顔ぶれです。孫穎莎選手と蒯曼選手が別枠でエントリーしているため、中国人トップ選手が5名+蒯曼選手の6名もいます。

早田ひな選手はWR6位でした。

WR上位36名の顔ぶれ

日本人選手で出場したのは早田ひな選手、伊藤美誠選手、張本美和選手、平野美宇選手の4名です。

予選ラウンド:1位通過

早田ひな選手はドローによりルーマニアのサマラ選手、ドイツのウインター選手と同じグループ8に入りました。

ウインター選手に3-1で、サマラ選手に4-0(2ゲーム終了時点で棄権)で勝利し、予選ラウンドを1位で通過しました。

ドローセレモニー。

第1試合

ドイツのサビーナ・ウインター選手との対戦でした。WTTコンテンダーザグレブ2022以来の対戦になります。

ドイツのサビーナ・ウインター選手

第3ゲームからウインター選手の逆襲にあい、危うく2-2になるところでした。めっちゃ心臓に悪かったです。

サビーナ・ウインター選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、1-4と出遅れますが、精度の高いプレーで4-4に追い付きます。両ハンドの精度、サーブのコントロールも良く11-6でこのゲームを取ります。プレー内容から、早田選手の仕上がりは良いと思いました。
  • 第2ゲーム、攻撃の組み立てが良く、流れをつかんで11-4でこのゲームも取ります。早田選手のプレーは安定しています。
  • 第3ゲーム、ウインター選手にミドルを攻められ、ミスが増えてあっという間に2-8と大量リードされます。そこから修正して追い上げたものの、8-11で落としてしまいます。次のゲームを落とせなくなりました。
  • 第4ゲーム、ウインター選手の強気のプレーが決まる回数が増えてリードを許す展開になります。6-9でタイムアウトを取り、3連続得点で追い付きます。ベンチの石田コーチの咆哮がコートに響きます。強打で9-10とされますが、コントロールの効いた台上プレーでミスを誘ってデュースに持ち込みます。ミスの多かったミドルのボールに対応して11-10とし、最後、体勢を崩されながらのラリー戦を耐えて12-10で勝ち切りました。

危なかったです。第4ゲームを落として2-2になっていたら、予選ラウンド1位通過が危なくなるところでした。勝てて良かったです。また、ベンチに石田コーチがいてくれて良かったです。

フル動画。

ハイライト。

テレ東公式動画。

試合結果を伝える記事。

第2試合

ルーマニアのサマラ選手との対戦でした。WTTコンテンダードーハ2021以来の対戦になります。

この試合の前の、早田ひな選手とサマラ選手のウインター選手との対戦結果により、早田ひな選手はゲームカウント2-2以上で1位通過が確定する状態でした。

ルーマニアのサマラ選手

2ゲーム終了した時点でサマラ選手が腰の痛みにより棄権となりました。

  • 第1ゲーム、流れをつかんで8-3とリードします。そこからサマラ選手の追い上げを振り切って、11-6でこのゲームを取ります。早田選手の仕上がりは良さそうです。
  • 第2ゲーム、積極的なレシーブと巧みなサーブで攻めて7-3とリードします。この試合、レシーブを極力バックハンドで攻める意識が感じられます。そこからサマラ選手の逆襲にあって1点差まで追い上げられますが、勝負どころの9-8からの打ち合いを制して笑顔を見せます。コートに石田コーチの咆哮が響きます。最後、レシーブをバックハンドフリックでエースして「ヨ!」と声を出します。

2ゲーム先行した時点で早田ひな選手の1位通過が確定しましたが、同時にサマラ選手が腰の痛みにより棄権となり、扱いとしてはゲームカウント4-0で早田ひな選手の勝利となりました。

フル動画。

ハイライト。

決勝トーナメント:ベスト8

シードされている中国四天王以外は完全ランダムドローなのですが、今大会はきれいにバラけました。(WTT公式サイトのドロー)なお、伊藤美誠選手は惜しくも予選ラウンド敗退でした。

決勝トーナメントのドロー

引用:テレ東卓球情報のXポスト

早田ひな選手は強い申裕斌選手との激戦を制して準々決勝に進みましたが、王曼昱選手に負けてベスト8でした。今大会は申裕斌選手から勝利をもぎ取ったこと、王曼昱選手に挑戦できたことが最大の収穫になりました。

Round 16

韓国の申裕斌選手との対戦でした。今大会では絶対に負けられない相手です。

韓国の申裕斌選手

申裕斌選手が強くてほぼ負けかけのところなんとか踏ん張って勝ちました。勝てて本当に良かったです。

  • 第1ゲーム、流れをつかんで8-3とリードしますが、申裕斌選手の攻撃力が高くて9-8と追い上げられます。最後10-9からフォアハンドの連打を決めて11-9でこのゲームを取ります。
  • 第2ゲーム、主導権を握れずリードを許す苦しい展開が続きます。何とか追い上げたものの、いつもの攻撃が決まらず9-11で落としてしまいます。申裕斌選手、強いです。
  • 第3ゲーム、申裕斌選手が強くてリードを許す展開が続きます。6-10とゲームポイントを握られてから9-10まで追い上げますが、最後厳しいコースを突かれて9-11でこのゲームも落としてしまいます。今日の申裕斌選手はラリー戦がめっぽう強いです。
  • 第4ゲーム、動きが良くなり流れをつかんで早田選手がリードする展開になり、11-8で取り返してゲームカウントを2-2に戻します。
  • 第5ゲーム、レベルの高いプレーの応酬が続きます。早田選手が流れをつかんでリードを広げ、11-6で取ります。
  • 第6ゲーム、バックハンドのレシーブミス5本で流れを渡してしまいます。最後逆モーションフリックがコースを外れ、4-11で落としてしまいます。
  • 最終第7ゲーム、バックハンドの精度が悪く3-6とリードされたところでタイムアウトを取ります。バックハンドのレシーブを改善して3連続得点で追い付きます。ラリー戦を2本落としてから(この試合で何度もあった)チキータレシーブのミスで6-9と追い込まれます。それでもチキータレシーブで攻めてからバックハンドでコースを突き、得点源としているサーブ3球目攻撃を2本決めて9-9と追い付きます。ラリー戦を落として9-10とマッチポイントを握られますが、チキータレシーブをミドルに打ち込んで得点し絶叫します。石田コーチの咆哮がコートに響きます。デュース後も攻めた早田選手が最後(あの世界卓球ダーバン大会を彷彿とさせる)サイドを切るバックハンドを決めて13-11で勝ち切り、王曼昱選手が待つ準々決勝進出を手にしました。

絶好調の申裕斌選手に負けないで良かったです。パリオリンピック目前の今大会で負けるわけにはいかなかったし、負けていたら準々決勝で王曼昱選手と対戦するチャンスも得られませんでした。とても収穫の多い試合になりました。

修正が必要なところが目立ちましたが、早田ひな選手の状態は決して悪くないと思いました。準々決勝では前回対戦時よりも良いパフォーマンスを発揮して欲しいです。

フル動画。

ハイライト。

生涯忘れられないシーン。

試合結果を伝える記事。

準々決勝

王曼昱選手との対戦でした。チャンピオンズフランクフルト2023で完敗しています。

王曼昱選手

まだまだ勝てる相手ではありませんでしたが、早田ひな選手の成長を実感できる試合内容でした。

王曼昱選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、2点ビハインドのまま両者譲らぬ展開が続きますが、7-7と追い付いて吠え、8-7とリードして吠えます。動きは良いです。そこからミドルのボールをフォアハンドで強打する、得点を取りに行くプレーを4本連続でミスし、8-11でこのゲームを落としてしまいます。ミドルの高めのボールを体勢を崩しながらもミスしないで打てるようになれば、勝機が見えます。
  • 第2ゲーム、接戦で6-6まで競ります。そこからラリー戦2本を不運なエッジとコース変更のミスで落として6-8になります。次にチャンスボールをフォアハンドで強打してオーバーミスします。他の選手相手なら、不調な時にしかしないミスです。次にこの試合2本目の、ネット近くでの(打たれる瞬間相手は失点を覚悟する)フリックをオーバーミスして6-10とされます。最後はネットインのゆるいボールを打ちミスして7-11でこのゲームを落とします。このゲームを落とした問題は、次回対戦までに修正可能なはずです。
  • 第3ゲーム、地味ながらも世界2位との戦いにふさわしいレベルの高いプレーの応酬が続きます。点差が開かない展開で7-7とした後、フランクフルトとは違って下がらないラリー戦2本を制して絶叫します。石田コーチは両手を突き上げます。最後、ラリー戦に打ち勝って11-8でこのゲームを取り返します。
  • 第4ゲーム、攻めるバックハンドにミスが続いて5-9とリードを許します。最後、クロスに深くツッツかれたボールに対応できず6-11で落とし、ゲームカウントを1-3にされます。
  • 第5ゲーム、序盤リードしていたもののフォアハンドにミスが続き、不運なエッジもあって6-6と追い付かれます。7-8でチャンスボールをフォアハンドで強打しますが、コースを狙いすぎてミスになります。次にミドルへの高めループドライブをフォアハンドで強打しますが、オーバーミスになります。この(他の選手相手ならミスしない)フォアハンドの強打を修正するだけで、勝ち筋が見えてきます。このゲームも8-11で落として敗戦となりましたが、同じゲームカウント1-4でも試合内容はフランクフルトの時とは全く違う、成長を実感できるものでした。

早田ひな選手のプレー、フランクフルトの時とは大きく違っていました。

  • サーブ・レシーブが格段に良くなりました。
  • サーブが効いて3球目攻撃の形を作れるパターンが増えました。
  • ラリー戦を前・中陣で耐えながら早めのコース変更にチャレンジしていました。下げられて勝率の低いラリー戦を強いられたフランクフルトとは別人のようでした。

できればオリンピック本番前にもう一度対戦したいですね。

フル動画。

ハイライト。

試合結果を伝える記事。

まとめ

  • R16で対戦した申裕斌選手が強くてほぼ負けかけましたが、なんとか踏ん張って勝ちました。負けていたら王曼昱選手と再戦できませんでした。
  • 準々決勝で王曼昱選手と再戦しました。半年前のWTTチャンピオンズフランクフルト2023では完敗でした。今回も勝てませんでしたが、試合内容ははるかに良くなっており、努力の方向性が間違っていないことを改めて証明しました。
  • 結果ベスト8で、獲得したWRポイントは265でした。

おまけ

WTTが作成したスーパープレー集、トリを飾ったのは早田ひな選手のあのプレーでした。

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