全日本選手権大会、今年と来年は試験的にシングルスとダブルスを分離して開催されます。同時開催だと1日にこなす試合数が多く、選手への負担が大きいことが理由と思われます。
怪我からの回復途上にある早田ひな選手は、シングルス3連覇がかかっていました。R16までの3試合の内容から最終日に残るのは難しいと感じましたが、準々決勝から別人のようなプレー内容で躍動し、見事優勝、シングルス3連覇を達成しました。
*アイキャッチ画像はテレ東卓球情報のXポストからの引用です。
大会概要
- 期間:2025年1月21日から26日
- 場所:東京体育館
- 出場種目:シングルスのみ(ダブルスは分離開催)
- 参照:日本卓球協会公式サイト
全日本選手権大会初の分離開催
全日本選手権大会一般の部の日程は過酷でした。早田ひな選手は2023年大会で17試合を勝ち抜いて3冠を達成しました。2024年大会はシングルスのみの出場でした。3種目に出場した場合、2023年は1日に最大4試合だったのが、2024年は木曜日が5試合、土曜日は6試合と殺人的日程になっていました。
2025年大会と2026年大会は試験的にシングルスとダブルス(混合ダブルスも)が分離開催になりました。シングルスを東京体育館で開催し、3日空けてダブルス競技を愛知県で開催します。
そのため、スーパーシードの選手は4日間で6試合という無理のないものに変わりました。分離開催は妥当な試みだと思います。2027年大会から正式採用となって欲しいです。
ネット中継・放送
- 昨年に続き、全テーブル・全試合がもれなく卓球TVでネット中継されました。ありがたいです。見逃し配信(アーカイブが公開)も迅速でした。
- 男女シングルス準決勝がNHK BSで中継されました。
- 男女シングルス決勝がNHK総合で中継されました。
- ハイライト動画(日本卓球協会提供)がsportsnaviで公開されました。卓球TVにはないものです。
大会開催前
見どころ解説記事
次は準々決勝前日の記事。
シングルス:優勝
怪我からの回復途上にありましたが、試合を経るごとに尻上がりに調子を上げ、準々決勝からは別人のような(怪我する前の状態と変わらないような)プレーで躍動しました。準決勝で大藤沙月選手、決勝で張本美和選手をともにストレートで下して見事優勝、シングルス3連覇を達成しました。
Round 64(4回戦)
加藤亜実選手との対戦でした。加藤亜実選手はカットマンです。
第3ゲームまでは接戦で、どっちが勝ってもおかしくない試合でした。ちょっと運が足りなかったら負けていました。勝ててよかったです。
この試合、早田ひな選手が本当に楽しそうにプレーしているのが印象的でした。
フル動画。4:10:00あたりから。
ハイライト。
試合結果を伝える記事。
試合後のインタビュー。
上記インタビューの内容。頑張りたいけど無理して怪我を再発させることだけは避けたい、という気持ちが表れていますね。
「本当にここからは試合をしていってどうという判断にはなってくる。半分ぐらいは練習である程度、リハビリも含めて戻ってきている。あとは試合をしながら。試合をして痛めたらまた治療してとなる。本当に何%というのは言えないところ。自分自身も上を目指して頑張っていきたいですけど、今の状態だと諦めるところは諦めないとプレーもできないですし、自分自身が苦しくなってしまうだけ。勝つことは大事ですけど、パリ五輪が終わって、初めてこの東京の全日本を見にきてくださっているファンの皆さんもいらっしゃると思いますし、ユニホームも大輔先生(石田前コーチ)がデザインしてくれているので、一枚でも多く着られるように、一日でも多く残ってファンの皆さんに応援してもらえるように頑張りたい」
引用:3連覇かかる早田ひなが白星発進!パリで負傷の左腕はまだ万全でなく「途中棄権の可能性もなくはない」も「長く試合ができれば」平野美宇、伊藤美誠も5回戦進出
早田ひな選手はいつも謙虚です。
「この舞台に戻ってくるところまで来られたのはうれしいし、ファンの人も望んでくれていたと思う。結果はどうであれ、後悔なく最後までやりきれればと思う。」
Round 32(5回戦)
面手凛選手との対戦でした。面手凛選手はジュニアの決勝戦で張本美和選手に負けてから30分程度しか経っていない状態での試合になりました。
面手凛選手が強く、早田ひな選手はまだ100%には程遠い状態のため非常に苦しい試合になりましたが、ギリギリで勝つことができました。負けてもおかしくない試合でした。
フル動画。0:14:00あたりから。
試合結果を伝える記事。
Round 16(6回戦)
三村優果選手との対戦でした。
4-1で勝ちましたが、難しい試合でした。早田ひな選手、本当によく粘りました。
フル動画。1:55:30あたりから。
ハイライト。
試合後のコメント。
「復帰してまだ時間が経っていないので。試合をしながら感覚を取り戻すことが多くて。今回のボール、海外で戦っている選手よりも実業団や高校生の選手の方がやり慣れている。でも、耐えながら、諦めずに自分の感覚に持ってけた。コンディションを含めて調整ができていない中で来ていて(今大会は)1勝したら100点という気持ちで来ています。」
「25年に入って1勝を挙げられて、今大会は3勝を挙げることが目標だった。今日までできていたことが明日できなくなる可能性もあるけど、できる範囲でベストを尽くして頑張りたい。」
試合結果を伝える記事。
準々決勝
芝田沙季選手との対戦でした。R16で木原美悠選手に競り勝っています。
早田ひな選手は昨日までとは別人のようなプレー内容で、勢いのある芝田沙季選手を退けました。
- 第1ゲーム、早田選手は動きが良く、バックハンドも良く振れています。昨日まではいろいろと「合わない」ことが多かったのですが、今日は序盤から良い感触をつかめているようです。危なげなく11-5でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、早田選手がリードを保つ展開が続きます。明らかに昨日までの早田選手ではありません。レシーブがダメで甘いボールを打たれるシーンが何度もありましたが、今日はそんなことはないです。11-7でこのゲームも取ります。
- 第3ゲーム、点差が開かない展開が続いて8-8まで競ります。8-10と先にゲームポイントを握られますが、そこから4連続得点して12-10でこのゲームも取り、ゲームカウントを3-0にします。コートに響く絶叫に僕の心は痺れっぱなしです。
- 第4ゲーム、芝田選手の逆襲に会い、ややミスが増えて8-11で落とします。
- 第5ゲーム、怪我する前に戻ったのかと思うようなプレーでリードを広げます。得点時に回転しながら吠えるのが最高です。早田選手らしい台から下がってのスーパープレーも出ます。危なげなく11-5で勝ち切り、準決勝進出を決めました。
早田ひな選手、両ハンドをしっかり振れていましたし、レシーブから積極的に攻めていました。
フル動画。0:07:20あたりから。
ハイライト。
ベスト4進出を決めたシーン。
試合終了後のインタビューで語ったこと。
「芝田選手は一定のラリーをすると何本でも返してくる。自分でそこの殻を破るのが怖かったけど、バックのスピードのあるボールとか、怖いと思っているところを打開することができて、少しずつ元の状態に戻ってきている。」
「サービス・レシーブは卓球で一番大事なところでもあるので、そこも腕の影響はあるけれど、今日は最初からすごくうまくできていた。痛みどうこうを気にせず、やってみようという感じでやれた。バックハンドでスピードを出したいなと思ったときに、これまで怖くてできなかったところが芝田さんとの試合では殻を破ることができた。自分自身もまた新しい自分で強くなっていけたらと思います。」
試合結果を伝える記事。
準決勝
大藤沙月選手との対戦でした。今大会絶好調です。
第1ゲーム、第3ゲームの接戦を制して流れを渡さず、ストレート勝利でした。
- 第1ゲーム、準決勝に相応しい接戦で7-7まで競ります。早田選手は昨日からの好調をキープしています。10-7とゲームポイントを握りますが、10-9と追い上げられます。デュースにしないで逃げ切りたいところ、ハイトスサービスに変えて3球目をバックハンドで決め、11-9でこのゲームを取ります。このゲームを取れたのは大きかったです。
- 第2ゲーム、早田選手は怪我から復帰中とは思えない、精度が高く躍動感あるプレーでリードを広げます。よく声が出ていますし、眼つきに凄みがあります。危なげなく11-4でこのゲームも取ります。
- 第3ゲーム、大藤選手にリードを許す展開になり、5-9とされます。ここから多彩な得点パターンで9-9と追い付きます。先にゲームポイントを握られますがデュースに持ち込み、心拍数が上がる接戦を制して14-12で取り切ってゲームカウントを3-0にします。このゲームを逆転で取れたのは決定的でした。
- 第4ゲーム、早田選手のサーブが効き、レシーブも甘くならず、終始ゲームを支配して11-5で勝ち切って決勝進出を決めました。早田選手、強かったです。
強敵の大藤沙月選手にストレートで勝てたのには、早田ひな選手の得点パターンの多彩さ、試合をコントロールする能力が上回っていたからだと思いました。この試合のプレーは文句なしに素晴らしかったです。
早田ひな選手、今日はプレーに制限をかけていないかのようにバックハンドを振っていました。そうしないと勝てない相手なわけですが、怪我からの回復途上にあるので無理していないか心配になりました。でもそれは本人が一番良く分かっていることなので、応援あるのみです。
フル動画。0:11:30あたりから。
ハイライト。
ハイライト、BUTTERFLYバージョン。
試合結果を伝える記事。
「早田はケガの影響で影を潜めていた強いバックハンドも見せ」そうだよね。
破れた大藤沙月選手のコメント。
決勝
張本美和選手との対戦でした。準決勝で伊藤美誠選手を4-0で下しています。
もっと激戦になると思っていたのですが、早田ひな選手が張本美和選手を抑え込み、良いところをほとんど出させませんでした。早田ひな選手、完全復活を期待させるような強さでした。
- 第1ゲーム、早田選手はプレーの精度が高く、動きもよく、流れをつかんで11-3でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、接戦で5-5まで競りますが、そこから早田選手らしい攻撃で11-6でこのゲームも取ります。言われなければ怪我からの復帰途上とは思えない仕上がりです。
- 第3ゲーム、点差の開かない展開が続きますが10-9と先にゲームポイントを握ります。デュースに持ち込まれますが、ラッキーなネットインもあって13-11でこのゲームも取り、ゲームカウントを3-0にします。このゲームに競り勝ったのは大きかったです。
- 第4ゲーム、2-5とリードされますが、すぐに追い付きます。6-6から流れをつかんで5連続得点し、11-6のストレート勝利で見事に優勝、3連覇達成を成し遂げました。早田選手、怪我する前の状態のような強さでした。
プレーもそうですが、勝負どころで得点した時に回転しながら吠える動作からも、状態が良くなってきていることが分かりました。そして何より、試合するのが楽しくてしょうがないのが表情、動作に表れているのが良かったです。
フル動画。0:10:30あたりから。優勝インタビューは0:50:40あたりから。必見です。
ハイライト。
ハイライト、BUTTERFLYバージョン。早田ひな選手の声を良く拾っています。
表彰式。
早田ひな選手の優勝を伝える記事。
破れた張本美和選手のコメント。
全日本選手権に臨む前の練習について。
現在と同様の練習を積めるようになったのは、全日本選手権を1か月後に控えた昨年12月中旬頃から。「できないものはまだできないので、サボテンを育てているような感覚だった。サボテンは水やりを1か月に1回ぐらいすれば勝手に成長してくれる。その間に他の花を咲かせられるように頑張っている感じ。放置するところは放置して、重要なところだけピンポイントで練習するようになった」とメリハリをつけて準備を進めてきた。
「今年は本当にすごい軽い気持ちでこの全日本に入ってきた。絶対優勝するぞという自信はもちろん持てなかった」と苦笑いを浮かべるが、抜群の勝負強さはエースたるゆえん。日本一決定戦で底力を見せつけた。
大会終了後
インタビューの一部
フル動画見たいなあ。
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女子シングルス3連覇!🎙️『シーズン2へ』#卓球 #早田ひな 選手🏓
\\2025年 全日本卓球選手権大会🎥@jtta_official @hayata_hina
ケガを抱えながら掴んだ頂点!
そしてさらなる高みへ。#TEAMJAPAN #がんばれニッポン pic.twitter.com/iEHBdsRWMU— TEAM JAPAN (@TeamJapan) January 26, 2025
優勝後の記者会見
優勝後の記者会見をまとめた記事。記者がいろんな質問をし、それに率直に回答しています。必見です。
早田ひな選手からのメッセージ
早田ひな選手のインスタグラム
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石田大輔さんのインスタグラム
大会終了後に再会した二人。最高の笑顔、そして早田ひな選手の左手に何も巻かれていないことから、左腕があの激戦に耐えてくれたってことが分かります。ありがたい。
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大輔先生、離れてもずっと側にいて下さい。
まとめ
今大会、早田ひな選手にとってはシングルス3連覇がかかっていましたが、怪我からの回復途上にあったので、優勝を目指すのは難しかったと思います。R16までの3試合の戦い方を見て、最終日に残るのは厳しいかなと感じました。ところが準々決勝の芝田沙季選手戦から別人のようなプレーで(自分で設けていた制限を外したのではなかろうか)準決勝進出を決めます。このプレーができれば大藤沙月選手とも互角に戦えるかもと期待したところ、大藤沙月らしさを完全に封じ込み、ストレート勝利で決勝進出を決めます。
決勝は昨年の全日本選手権と同じカード、張本美和選手との対戦でした。大藤沙月選手との試合内容から、優勝の可能性は十分にあると期待しましたが、激戦は避けられない、ゲームカウントで先行できたらと思っていました。ところが不思議なぐらい張本美和選手らしさがない試合内容で、頭が冴えているからこそできる多彩な得点パターンで翻弄します。両ハンドをしっかり振れているし、プレーに躍動感がありました。実況の山﨑雄樹さんの目にも、完全復活したように写ったようです。得点時の雄叫び、動作、表情も怪我する前のものでした。
これは夢ではないかと疑うような、圧倒的な強さを見せて優勝、3連覇を達成した瞬間、早田ひな選手は笑顔満開でしたが僕は泣いていました。パリオリンピックから半年、つらい期間が長かったはずですが、早田ひな選手自身が「ここから上がっていくだけだと思うので、しっかりケガと向き合いながら頑張っていきたいと思う」(引用元記事)と語ったように、目標に向かってしっかりと歩みを進めています。シーズン2も全力で応援します。
優勝者に付与される特典
世界卓球2025ドーハ大会(個人戦)のシングルス枠が1つ空いており、早田ひな選手は今大会で優勝するか、エントリー締め切り2週間前のWRで上位にいればその残り1枠を獲得できます。そして早田ひな選手が優勝したことで、無事に世界卓球選手権の出場資格を獲得できました。良かったです。
また、2025年アジア選手権大会(団体戦)の出場資格も獲得しました。
おまけ
石田大輔さんがデザインしたユニフォームを着用して試合に臨みました。
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早田ひな選手限定ウェア受注生産販売スタート!
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毎年大人気の早田選手(日本生命)オリジナルデザインの限定ウェアを受注生産販売します!
大会では、実際に早田選手も着用しますので、お楽しみに!申込期間:1/14(火)~2/4(火)https://t.co/IypK6kfW2a#早田ひな #ニッタク #卓球 pic.twitter.com/qFWbKOiKqM
— Nittaku News-ニッタクニュース (@nittaku_news) January 14, 2025
石田大輔さんのインスタグラム。
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テレビ東京特設サイトのギャラリー。撮影はItaru Chibaさん。