2021年9月28日からドーハで第25回アジア選手権大会が開催されたのですが、その直前に同地でWTTスターコンテンダーが開催されました。日本女子は同じメンバーが両大会に出場しました。
早田ひな選手はシングルスと混合ダブルスに出場し、見事2冠を達成しました。
*アイキャッチ画像はWTT公式サイトからの引用です。
WTTスターコンテンダー
- シニア向けWTTシリーズの下から2番目の大会です。
- 年間最大6大会開催可能です。今大会は2回目の開催でした。(2021年は2回しか開催されませんでした。)
- 本戦5日、予選2~3日の日程で選手によっては1日に4試合に出場します。
- シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
- シングルスの本戦は48名、うち8名は予選を通過した選手。
- 予選人数は32、48、64名から開催国が選択します。
- ダブルス本戦16ペア、うち4ペアは予選を通過したペア。
- 混合ダブルス8ペア(予選なし)。
- シングルスは各協会から6名までしか出場できません。また世界ランク21位以降の上位者から優先出場となっています。
- 世界ランク20位以内の選手は、全体で8名しか出場できません。
- 前6週以内にグランドスマッシュまたはチャンピオンズに出場した選手は優先度が下がります。
- シングルスの準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
- 優勝選手には600ポイントが付与されます。
WTTスターコンテンダードーハ2021Ⅱ
2021年3月にドーハにてスターコンテンダーが開催されていたので、WTTは区別するためにⅡを付けています。
- 期間:2021年9月20日から25日
- 場所:カタールのドーハ(日本との時差6時間、現地10:00が日本の16:00)
- 出場種目:シングルス、混合ダブルス
- 参照:WTT公式サイト
今大会、東京オリンピックに出場した日本の男女は出場を回避(休養)しました。そのため世界ランク下位の選手にとってポイントを稼ぐチャンスでした。
早田ひな選手はペアリングの関係でダブルスには出場していません。混合ダブルスは戸上隼輔選手と組んだ「とがひなペア」での出場でした。
ネット中継
- WTTがYoutubeチャンネルでリアルタイム配信しました。
- テレビ東京卓球チャンネルが本戦のみリアルタイム配信しました。
- リアルタイム視聴できなくても、おおむね24時間以内にはテレビ東京卓球チャンネルにアップされました。ありがたいです。
シングルス出場選手
本戦から出場する40名の顔ぶれです。
早田ひな選手はWR26位で第6シードでした。
今大会には東京オリンピックメンバーの伊藤美誠選手、石川佳純選手、平野美宇選手が出場していません。また中国人選手は同時期に国内で開催された大会のため参加しませんでした。そのためスターコンテンダーにしては優勝を狙いやすい大会でした。こういう大会でチャンスをものにしてWRポイントを稼いでおくことが重要です。
シングルス:優勝
早田ひな選手は十分決勝まで行けるドローでした。そして激戦となった田志希(チョン・ジヒ)選手との準決勝に勝って決勝に進み、杜凱琹選手を倒して見事優勝しました。獲得したWRポイントは600でした。
Round 32(2回戦)
オーストリアのカロリン・ミシェック選手との対戦でした。しっかり勝てて良かったです。
フル動画は見つかりませんでした。
ダイジェスト。
Round 16(3回戦)
韓国の崔孝珠(チェ・ヒョジュ)選手との対戦でした。崔孝珠選手はバック表の前陣速攻型です。
接戦になりましたが、勝ち切れて良かったです。
フル動画は見つかりませんでした。
ダイジェスト。
準々決勝
安藤みなみ選手との対戦でした。安藤みなみ選手はバック表の前陣速攻型です。
難しい相手だったと思いますが、勝てて良かったです。
- 第1ゲーム、接戦で5-5まで競りますが、コース取りがうまかった早田ひな選手が抜け出し、11-6で取ります。
- 第2ゲーム、両者ともに得意な攻撃パターンで得点する展開が続き、7-7まで競ります。その後打ち合いを制して11-8でこのゲームも取ります。
- 第3ゲーム、流れをつかめず0-7と大量リードを許します。それでも攻撃的姿勢を崩さず8-9まで追い上げます。先にゲームポイントを握られますが、デュースに持ち込み逆転でこのゲームも取って試合をものにしました。
勝負どころでのミドル攻めが効いていました。また早田ひな選手は両ハンドの精度が高く、次の準決勝にも期待が持てました。
フル動画。
ダイジェスト。
この試合のスーパープレー。
準決勝
今大会第1シード、韓国の田志希(チョン・ジヒ)選手との対戦でした。この試合のことは生涯忘れないでしょう。
卓球の神様の存在を確信する試合でした。
- ラリー中に田志希選手のフォア側に不用意にボールを送ると中陣から強烈なドライブを打ち込まれます。また、回り込んでのフォアドライブも得点源としています。
- 第1ゲーム、8-8まで互角の展開になりますが、ここから回り込んでのフォアドライブ2本とミドルへ上手く攻められて連続失点し、8-11で落とします。
- 第2ゲーム、田志希選手の得意パターンを避けた配球に変更しますが、ややオーバーミスが多く流れをつかめません。9-10まで競りますが、最後回り込んでのフォアドライブを決められてこのゲームも落としてしまいます。
- 第3ゲーム、5-5まで競りますがそこからミスを連発して5-8とリードされます。粘って8-10にしますが最後エッジでこのゲームも落とし、ゲームカウント0-3と後がなくなります。
- 第4ゲーム、2-2の場面で田志希選手にイエローカードが出されます。(実況は分かっていませんでしたが)ラケットに息を吹きかけて拭いたことへの注意です。このゲームは攻撃が決まるようになり11-6で取り返します。
- 第5ゲーム、4-5の場面で田志希選手に2枚目のイエローカードが出され、5-5に変わります。コロナ対策でラケットやボールに息を吹きかけてはいけないのですが、同じことをしても審判によって判断が異なります。結果的にここから流れが変わって11-8で取ります。
- 第6ゲーム、3-1とリードした場面で田志希選手は表情と仕草でメンタルの弱さを露呈します。田志希選手の得意パターンにさせずに7-2と大量リードしたものの、9-7まで追い上げられます。最後はバック対バックの打ち合いを制してこのゲームも取り、ゲームカウントを3-3にします。
- 最終第7ゲーム、早田ひな選手の台上技術が冴え、この試合序盤のゲームとはまるっきり違う展開になり10-3と大量リードでマッチポイントを握ります。最後はミドルへのロングサービスで勝ち切り、厳しかった試合をものにして、決勝進出を決めました。
0-3と追い込まれる苦しい展開でしたが、勝てて良かったです。
フル動画。
ダイジェスト。
ミドルへのロングサービスで勝利を決めた瞬間。
この試合のスーパープレー。
決勝
今大会第2シード、香港の杜凱琹(トガイキン)選手との対戦でした。
- 第1ゲーム、6-4から台上技術と緩急を混ぜたラリーで抜け出し、11-6で取ります。
- 第2ゲームも安定したプレーで得点を重ね、11-6で取ります。
- 第3ゲーム、展開が変わって1-7と出遅れますが、盛り返して9-9で追い付き、そのまま11-9でこのゲームも取ります。ゲームカウントは3-0に。
- 第4ゲーム、ミスが増えて3-8と大量リードを許しますが、攻撃的姿勢を崩さず7-8まで追い上げます。その後ミスが出てこのゲームを落とします。
- 第5ゲームは打ち合いになる展開が増えますが、ラリー戦に分がある早田ひな選手が9-4とリードします。その後追い上げられますが、最後2本打ち合いを制して11-7で勝利します。
両選手の良さが出た、素晴らしい試合でした。早田ひな選手はWTTシリーズのシングルス初優勝でした。
フル動画。
ダイジェスト。
この試合のスーパープレー。
表彰式。
混合ダブルス:優勝
早田ひな選手は戸上隼輔選手と初めて組んだ「とがひなペア」で混合ダブルスにノーシードで出場し、見事優勝しました。
ドローはともかく、準決勝と決勝では確実に強敵と当たるわけで、この優勝は価値の大きいものでした。
Round 16(X回戦)
チュウ・ジユ/ツォン・ジエンのシンガポールペアとの対戦でした。緊張する初戦、勝てて良かったです。
フル動画は見つかりませんでした。
ダイジェスト。
準々決勝
ホ・カンキ/李皓晴の香港ペアとの対戦でした。とがひなペア、強いです。
フル動画は見つかりませんでした。
ダイジェスト。
準決勝
黄鎮廷/杜凱琹の香港ペアとの対戦でした。はりひなペアも不調だと勝てない強敵です。
とがひなペア、攻撃的でいいですね。
フル動画は見つかりませんでした。この第2シードペアとの対戦のフル動画が残っていないなんて。
ダイジェスト。
決勝
張禹珍(ジャン・ウジン)/田志希(チョン・ジヒ)の韓国ペアとの対戦でした。この試合もウェアはピンクです。
- 第1ゲーム、とがひなペアはコース取りが良く、ミスも少なく流れをつかんで11-6で取ります。
- 第2ゲーム、張禹珍選手のボールを早田ひな選手が、田志希選手のボールを戸上隼輔選手がレシーブする際のミスが多く、3-11であっさり落とします。このパターン危ないです。
- 第3ゲーム、台上プレー、ショートサーブが効いて第1ゲームとは違う展開で11-2の大量リードで取ります。
- 第4ゲーム、第2ゲームと同じパターンで4-7とリードされますが、ここから田志希選手に軟打させたボールを戸上隼輔選手が強打する組み立てが効いて9-8と逆転します。最後は戸上隼輔選手がチキータを決めて11-8で勝ち切り、初ペアで初優勝を飾りました。
素晴らしい初優勝でした。
フル動画。
ダイジェスト。
ナイスプレー。
表彰式。
まとめ
- シングルスは準決勝で0-3からの逆転で田志希選手に勝ち、決勝で杜凱琹選手に勝って優勝しました。これにより獲得した600ポイントは2022年の戦いを優位に進めるのに大きく寄与しました。
- 混合ダブルスは戸上隼輔選手と初めて組んだとがひなペアで初優勝し、今大会2冠を達成しました。
早田ひな選手の特集動画。
シングルス・混合ダブルスの二冠を伝える記事。
おまけ
卓球ジャパン、WTTスターコンテンダードーハ特集1。
卓球ジャパン、WTTスターコンテンダードーハ特集2。