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パリオリンピック卓球代表選手選考レース結果

パリオリンピックの卓球シングルス代表選手は、国内選考会を主とした対象の大会で付与された、選考ポイントの合計上位2名が選出されます。3人目となる団体戦要員は、シングルス代表選手とのペアリングを考慮して日本卓球協会が選出しますが、選考ポイント上位者が優位になるのは確実です。

早田ひな選手は約2年間におよぶ選考レースにおいて、怪我による戦線離脱をも乗り越えながら安定した成績を残し続け、2023年11月には1位通過を確実にしました。そして最後の対象大会となった2024年全日本選手権大会で優勝し、ぶっちぎりの1位でパリオリンピックに出場します。

シングルス2枠目は2024年全日本選手権大会を迎えた時点で、平野美宇選手と伊藤美誠選手の2名に絞られていた(他の選手にはポイントで逆点する可能性が残っていなかった)のですが、結果、平野美宇選手が獲得しました。

団体戦要員は張本美和選手が選出されました。また、混合ダブルスペアには「はりひなペア」が選出されました。

*アイキャッチ画像はこちらの動画からの引用です。

選考ポイント合計8位まで

2024年全日本選手権大会の結果を反映した、選考ポイント合計8位までです。早田ひな選手はぶっちぎりの1位です。

2024年全日本選手権大会の結果を反映した、選考ポイント合計8位まで

積み上げグラフで見ると良く分かります。早田選手は安定してポイントを積み増すことができました。

選考ポイント合計8位までの積み上げグラフ

早田ひな選手はぶっちぎりの1位でパリオリンピックのシングルス枠を確定させました。すでに視線の先にあるのはパリオリンピック本番です。

これからシード権確保のために、主要な国際大会を戦い抜いて世界ランクを上げなければなりません。気を付けるのは、絶対に怪我をしないことです。

また、2023年全日本卓球選手権で3冠を達成した後、1ヶ月半ほど不調でメンタル的に良くない時期がありました。そういう状態にならないように注意することも必要です。

選考ポイント付与対象となった大会

Tリーグのリーグ戦以外は時系列で並べています。Tリーグのリーグ戦は最後に出てきます。

国内選考会(全部で10回)は優勝6回、準優勝2回、3位2回でした。

国内選考会(全部で10回)は優勝6回、準優勝2回、3位2回

さらに選考ポイント付与対象の国際大会でも大きなポイントを獲得しました。

選考ポイント付与対象の国際大会でも大きなポイントを獲得

第1回パリオリンピック選考会(2022 LION CUP TOP32)

石川佳純選手との激闘、長崎美柚選手との死闘に勝利して優勝しました。

TリーグNOJIMA CUP 2022

木原美悠選手、平野美宇選手に勝って優勝し、Tリーグ個人戦の初代女王になりました。

第2回パリオリンピック選考会(2022全農CUP TOP32)

準決勝で伊藤美誠選手に敗れ、3位決定戦で長﨑美柚選手に勝ち、結果3位でした。

第3回パリオリンピック選考会(2022全農CUP TOP32船橋大会)

決勝で平野美宇選手に敗れて準優勝でしたが、ケガによる休養明けであったことを考えれば十分すぎる結果です。

2023年全日本選手権大会

決勝で、過去一番強かった木原美悠選手に逆転勝ちで優勝しました。

第4回パリオリンピック選考会(2023全農CUP平塚大会)

R16敗退の危機(マッチポイント8回)をしのいで勝ち上がり、決勝で張本美和選手に勝って優勝しました。

世界卓球2023ダーバン大会

シングルスでベスト4入りしたため、選考ポイントを120、さらにWR3位の王芸迪選手に7ゲームマッチで勝利したため打倒中国ポイントを15獲得しました。

TリーグNOJIMA CUP 2023

準決勝で伊藤美誠選手に敗れ、3位決定戦で大藤沙月選手に勝利して結果3位でした。

第5回パリオリンピック選考会(2023全農CUP東京大会)

決勝で天敵の伊藤美誠選手に勝って優勝しました。

2023年アジア選手権大会

シングルスでベスト8だったので、選考ポイントを40獲得しました。

2022年アジア競技大会

シングルスで準優勝したので、選考ポイントを60獲得しました。

第6回パリオリンピック選考会(2023全農CUP大阪大会)

決勝で張本美和選手に敗れて準優勝でした。

2024年全日本選手権大会

長﨑美柚選手、赤江夏星選手、張本美和選手に勝利して、優勝(2年連続3回目)しました。

Tリーグ・リーグ戦

試合の消化ペースがチームによって異なりますが、日本卓球協会はある日で区切って個人の合計ポイントを更新しています。でも何かの大会の選考基準にする場合は試合消化数が最小のチームに合わせるとのことです。

2023-2024シーズンは年内の試合がポイント付与対象でしたが、年内の試合数が最少のチームに合わせて開幕から各チーム10試合までが付与対象になりました。

選考レース結果

選考結果は日本卓球協会から2月5日に発表されます。シングルス2枠は選考ポイントで自動的に決まりますが、団体戦要員は強化本部の推薦で、選考ポイント3位の選手が選出されるとは限りません。日本卓球協会の立場は、パリオリンピックで勝てる選手を選ぶ、です。

シングルス1枠目は早田ひな選手

早田ひな選手は第6回パリオリンピック選考会前に、1位通過をほぼ確実にしており、第6回選考会は回避しても良い状態でした。そうする選択肢もありましたし、その可能性を示唆する発言もありましたが、最終的には出場して準優勝し、1位通過をさらに確実なものにしました。

そして最後の対象大会となった2024年全日本選手権大会で優勝してぶっちぎりの1位でパリオリンピックのシングルス出場権を獲得しました。

シングルス2枠目は平野美宇選手

2024年全日本選手権大会を迎えた時点で、女子のシングルス2枠目を獲得できる可能性があったのは、平野美宇選手と伊藤美誠選手の2名だけでした。他の選手はポイント的に可能性がありませんでした。二人のポイント差はわずか34.5で、伊藤美誠選手が平野美宇選手より2回戦勝ち進むと逆点で伊藤美誠選手が2位通過するきわどい状況でした。

結果、平野美宇選手はR16で大藤沙月選手にストレートで勝利して準々決勝に進出しましたが、伊藤美誠選手はR16で木村香純選手にフルゲームで負けてしまい、この時点でパリオリンピックシングルス2枠目は平野美宇選手に決まりました。平野美宇選手と伊藤美誠選手のポイント差は64.5でした。

五輪切符決定直後の言葉。

五輪切符が決まった後は「少し自分の勝った試合が終わった後に決まったので。まだ実感はわいていないけど、決まったことは事実なので。まずは凄くうれしいし、ここまで来るには家族や中沢監督、ちゃんコーチ、チームのみんながいないと来られなかった。感謝の気持ちでいっぱいです」と感慨に浸った。

引用:パリ切符の平野美宇「まだ実感はわいていない」「凄くうれしい」自身勝利の19分後に吉報

五輪切符決定後の記者会見。

卓球ジャパン!による単独インタビュー。「私にとっては東京の方が何十倍も苦しかったです。」

団体戦要員

張本美和選手が選出されました。選考理由について問われた渡辺監督は、次のように説明しています。

女子代表の渡辺武弘監督は、3枠目の選考理由について「選考基準でうたっているように、ダブルスが組めて、シングルスもダブルスも活躍できるということでふさわしいと選考した」と説明。「海外と戦うので、昨年1年間国際大会を一緒に帯同して、戦いぶりや上位選手との成績を総合的に見ながら、今回は張本美和選手が一番ふさわしいと思って選出した」と話した。

また、伊藤との比較について「本当に選考は悩んで、悩んだ」と難しい選考だったことを明かした。その上で、張本美の国際大会での結果や戦いぶりに加え「ダブルスも非常に上手で、アジア大会では木原選手とペアを組んで、中国の孫穎莎、王曼ユペアにも買った。混合ダブルスでも戸上選手と組んで中国選手に勝ったり。トータルな見方をしたときに、わずかだが、張本選手を選考させていただいた」と述べた。

引用:張本美和は「卓球界の逸材」伊藤美誠は「卓球界の宝」 女子代表監督が「悩んで悩んだ」選考事情明かす パリ五輪代表発表

昨年と異なり、残念ながら代表候補発表会見は生配信されませんでした。次は翌日になって公開された編集済みの会見動画です。

なぜ会見が生配信されず、編集版しか公開されないのか、メディアも一般のファンもその理由について考えて欲しいです。

混合ダブルスペア

張本智和選手・早田ひな選手の「はりひなペア」が選出されました。シードの関わるペアの世界ランクが2位で、他のペアの可能性はゼロでした。

オリンピック本番まで、現在の世界ランクを維持する厳しい戦いが続きます。

パリオリンピック代表候補予定選手発表後

早田ひな選手のコメント

引用:世界卓球選手権関連のXポスト

石田大輔コーチのコメント

早田ひな選手のコメントは前記のものですが、石田大輔コーチのコメントが充実している記事です。やはりこの二人の組み合わせが生まれるのは100年に1度あるかないか、だと思います。

団体戦要員の選出結果について

団体戦要員は、2024年全日本選手権大会終了時点で、伊藤美誠選手か張本美和選手が有力と噂されていました。日本卓球協会(強化本部)は張本美和選手を選出したわけですが、僕は次の要素から妥当な判断だったと考えています。

  • 現時点では張本美和選手の方が、対中国人選手含めて強いと思われる。
  • 2023年の選考会、国際大会の戦いぶりから、張本美和選手の方が期待が持てる。
  • ダブルスのペアリングは平野美宇選手が最有力であるが、圧倒的に張本美和選手の方が好ましい。
  • 団体戦への意欲を落としている伊藤美誠選手より、選出されたら人生かけて頑張ってくれそうな張本美和選手の方が、チームジャパンにふさわしい。

強化本部は、代表候補発表記者会見で公表した「検討項目」よりはるかに多くのことを評価・想定したはずです。

水谷隼さんの見解

識者の見解の中では、水谷隼さんのものが突出して納得感がありました。

女子はこの1年間の張本美和の成長と、伊藤美誠のこの2年間の状態を考えれば妥当な選考だと思う。伊藤はどこかで調子が上がってくるかと思っていたけれども、東京五輪以降、最後まで調子は上がってこなかった。

伊藤はパリ五輪の選考方法が決まってから、不満を抱いていた感情が、そのまま選考会でも出ていたのではないか。過密スケジュールや選考方法に対するモヤモヤ感が抜けなかったことが大きく影響したかもしれない。

また、伊藤はプレースタイルに変化がなかった。みんなが彼女の卓球を研究しロングサービスを出してくるのだが、そのボールに対して最後まで苦しんでいた。過密なスケジュールや怪我で、練習時間が確保できず、最後まで改善できなかったのが悔やまれるところだろう。

一度チャンピオンになったり、メダリストのように結果を残した選手というのは調子が悪くなると、良い時の過去の自分に戻りたがる。あの時はこうだった、あの時はこんな練習をしていた、あの時はこういう用具を使っていたとか。でも周りは未来に向かっているので、過去の強い自分に戻ったところで勝てなくなってしまうのだ。ひょっとしたら伊藤も過去の自分に縛られていたのかもしれない。

張本美和は伸びしろを考えれば3番手として良い人選だろう。彼女はバック対バックからストレートに、相手のフォアサイドを厳しく攻めるのは非常に上手い選手だ。サービスレシーブでの幅も広く、これから半年間さらに強くなっていくだろう。

引用:水谷隼さん、金メダルコンビ伊藤美誠を思いつつ、パリ五輪卓球3番手「張本美和は妥当な選択」

リザーブメンバーは

リザーブメンバーの選出について、日本卓球協会は5月か6月の選出期限前に決めたいと発言していました。渡辺監督は伊藤美誠選手の可能性もあると話していましたが、伊藤美誠選手は早々に辞退する意向を表明しました。

伊藤美誠選手は辞退する意向を表明

伊藤美誠選手は、団体戦要員の発表から3日後には「私はリザーブというのは向かないと思う。いかないと思います。」と発言しています。気持ちは分かります。

オリンピックは特別

4年に1度しか開催されないオリンピックは選手にとって特別なものですが、日本卓球協会も最重要大会に位置付けています。選手選考にかける期間・リソースもそうですが、出場選手のサポートにも力を入れています。

おまけ

卓球ジャパン!、選考レース前半の振り返り。

卓球ジャパン!、2023年の振り返り、前編。

卓球ジャパン!、2023年の振り返り、後編。

石田大輔コーチと早田ひな選手へのインタビュー記事。

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