東京オリンピック卓球競技への出場選手枠は3名で、うち2名(シングルス出場選手)は世界ランキング上位から自動的に選出、残る1名(団体戦要員)は日本卓球協会がペアリングを考慮して選出されました。
が、国際大会が満足に開催されていない、大会に出場する機会が平等に得られない現状を踏まえ、パリオリンピックでは選考方式を国内大会重視に変更しています。
その第1回目の選考会で早田ひな選手は石川佳純選手との激闘、長﨑美柚選手との死闘に勝利して優勝しました。
*アイキャッチ画像は日本卓球協会公式ページからの引用です。
大会概要
- 期間:2022年3月5日、6日
- 場所:アリーナ立川立飛
- 種目:シングルスのみ
- 試合方法:選考資格を得た32名によるトーナメント
- 順位決定戦:8位まであり
- 試合形式:7ゲームマッチ
- 参照:日本卓球協会の公式ページ
順位に応じてパリ五輪選考ポイントが付与されます。
ネット中継・放送
全日本選手権大会の全試合をネット中継した卓球TVが担当するものだと思っていたのですが、そうではなくてテレビ東京卓球チャンネルのYoutube配信でした。生中継されたのはテーブル1と2だけですが、全テーブル全試合のアーカイブ動画が公開されています。またテーブル2のカメラについては他のテーブルの試合も臨機応変に映してくれる神対応でした。
また女子の決勝戦はテレビ東京系列で生中継されました。
ドロー
ドローは大会前日に会場にて公開(ネット中継)で行われました。(早田選手の姿が見えなくて焦りましたが、ケガや病気で棄権ではありませんでした。)
年初に開催された全日本選手権大会の結果でシードされました。トップシード8名は色を塗ってあります。
早田選手は全日本選手権で伊藤美誠選手に完敗したものの、準優勝だったので伊藤選手とは反対の山に入ることができました。
今大会で初めてパリ五輪選考ポイントが付与されますが、ドローのことも考えるとその戦い(競争)は全日本選手権大会から始まっていたわけです。
試合結果
早田ひな選手は長﨑美柚選手との激戦を勝ち抜いて優勝しました。3ゲーム先取されてからの逆転勝利でした。
優勝インタビュー。
表彰式。
早田ひな選手のハイライト動画。
Round 32(1回戦)
鈴木李茄選手との対戦でした。TOP32だけあって、初戦から強い選手と当たりますが、勝てて良かったです。
- 第1ゲームは危なげなく取ります。
- 第2ゲームはミスが増えて1-6と出遅れます。最後はデュースになりますが、なんとか取ります。
- 第3ゲームも接戦になりますが、11-8で取ります。
- 第4ゲームは流れをつかんで押し切りました。
フル動画。
Round 16(2回戦)
芝田沙季選手との対戦でした。接戦になりましたが、勝てて良かったです。
- 第1ゲーム、6-0とリードするも逆襲にあい7-10と先にゲームポイントを握られますが、最後フォアドライブを2本決めて取ります。
- 第2ゲームは両者強気のプレーが続きますが、ミスの少なかった早田選手が取ります。
- 第3ゲームも接戦になりますが、なんとか取ります。
- 第4ゲームは激しい打ち合いを制した芝田選手が取ります。
- 第5ゲームは芝田選手のミスが増え、11-5で勝ち切りました。
フル動画。
準々決勝
石川佳純選手との対戦でした。凄い試合でした。石川選手に負けていたら、世界卓球選手権(団体戦)への出場資格は得られませんでした。
- 第1ゲームは1-7と大きく出遅れます。そこから追い上げますが、落としてしまいます。
- 第2ゲームは流れが変わって11-0で取ります。
- 第3ゲームは接戦になりますが、攻撃力の優った早田選手が11-8で取ります。
- 第4ゲームは流れをつかめず7-11で落とします。ゲームカウント2-2になります。
- 第5ゲームも接戦になりますが、一歩およばず9-11で落としてしまいます。
- 後がなくなった第6ゲームは形勢が逆転し、11-4で取ります。
- 最終第7ゲーム、石川選手がリードする展開になりますが、強気の姿勢を崩さなかった早田選手が11-9で試合をものにします。
どちらが勝ってもおかしくない試合でした。石川佳純選手、強かったです。
このひとつの試合の、ちょっとしたプレーの差や運・不運で勝敗が決まり、それがパリオリンピック選考レースに大きな影響を与える現実にはとても厳しいものを感じます。
フル動画。
この試合のスーパープレー。
試合後のインタビュー。
水谷隼による石川佳純vs早田ひな戦のDEEP解説。
準決勝
木原美悠選手との対戦でした。準々決勝、決勝の激戦に比べると地味に見えますが、第6ゲームを取れてなかったら負けていたかも知れません。きわどい試合でした。
- 第1ゲームはほぼラリーになりませんでした。サーブ、レシーブでの得点が多く、11-5で取ります。
- 第2ゲームは接戦になり、打ち合いも増えます。12-14で落とします。
- 第3ゲームは流れを渡さず11-5で取ります。
- 第4ゲームは8-4とリードするもそこから逆転されて落とします。ゲームカウントは2-2に。
- 第5ゲームは一転、早田選手の流れになり、11-3と圧倒します。
- 第6ゲームは両者互角の打ち合いを展開し9-9まで競りますが、最後まで強気の姿勢を崩さなかった早田選手が勝ち切ります。
勝てて良かったです。木原美悠選手、強かったです。
フル動画。
この試合のスーパープレー。
決勝
長﨑美柚選手との対戦でした。長﨑選手はめっちゃ強く、いきなり3ゲーム連取されてしまいました。そこから3ゲーム取り返し、最終ゲームは先にチャンピオンシップポイントを握られたものの、デュースの末に勝ちました。まさに死闘でした。
- 第1ゲーム、ミスが少なく反応も良い長﨑選手が11-5で取ります。
- 第2ゲーム、接戦になり7-7まで競りますが、そこからミスが続いて落としてしまいます。
- 第3ゲーム、両者譲らず9-9まで競りますが、長﨑選手が高い攻撃力を見せて取ります。ゲームカウント0-3と後がなくなります。
- 第4ゲーム、ラリー戦での失点が減った早田選手が11-5で取ります。
- 第5ゲーム、序盤は長﨑選手リードから接戦になりますが、最後強気のサーブと攻撃で取ります。それでもゲームカウントは2-3とまだ長﨑選手が有利です。
- 第6ゲームもハイレベルな戦いが続き9-9まで競りますが、このゲームも早田選手が制してゲームカウントを3-3にします。
- 最終第7ゲーム、強気対強気の熱戦が続きますが、9-10、10-11と二度のチャンピオンシップポイントをしのぎ、13-11でこの死闘をものにしました。
フル動画。
この試合のスーパープレー。
試合後のインタビュー。
大会を振り返って。
大逆転での優勝を伝える記事。
卓球ジャパン!、長﨑美柚vs早田ひなの決勝をDEEP解説。
最終順位
最終順位(8位まで)と、獲得した選考ポイントです。
選考会に優勝して得たもの
この選考会の優勝者に付与される選考ポイントは50で、準優勝者は45です。差はわずか5ポイント。が、優勝者にはアジア競技大会のシングルスへの参加資格が与えられます。
- アジア競技大会のシングルスは選考ポイント付与対象。
- アジア競技大会のシングルス枠は2名しかない。
このシングルス枠に入れるのは、この選考会の優勝者と、アジア競技大会選考会の優勝者だけですので、ハードルがものすごく高いです。早田ひな選手が優勝できた意味は非常に大きいです。
また、世界卓球選手権(団体戦)への出場資格が選考会の上位4名に与えられました。(伊藤美誠選手は全日本選手権大会優勝により獲得済みでした。)
この第1回パリオリンピック選考会の結果、早田選手は次の特典を手に入れました。
- 選考ポイント50(当時トップ)
- 世界卓球選手権(団体戦)への出場資格
- アジア競技大会シングルスへの出場資格
もちろん、選考会を勝ち抜いたこと、長﨑美柚選手との死闘に勝利したことで大きな自信を手にしたはずです。
おまけ
早田ひな選手のハイライト特集。
大会終了後
早田ひな選手のツイートです。
LION CUP TOP32優勝することができました🐣🧡
日頃からサポートしてくださる皆さんと応援してくださる皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです😌
どんな時も自分自身と向き合い挑戦する気持ちを忘れず前だけを向いて頑張りたいと思います💪🏻
連日沢山の応援本当にありがとうございました🥂⋆͛ pic.twitter.com/D116TnOtZk— 早田ひな (@hayata_hina) March 6, 2022