制度

【2022年版】卓球の国際大会 WTTシリーズとは何か

この記事は2022年度のWTTシリーズについて解説しています。2023年版(かなり変更されています)については「卓球の国際大会 WTTシリーズとは何か」をご覧ください。

ITTF(国際卓球連盟)主催の多くの国際大会は、2021年からWTTシリーズに置き換えられました。コロナ禍だけではない、様々な理由によりWTTは計画通りに十分な数の大会を開催できておらず、また実際の運営内容が不透明で、出場選手の顔ぶれを見て疑問に思うことが少なくありません。

でも決められたルール・制度の範囲内でより多くの国際大会に出場して実力を発揮し、WRポイントを稼いで世界ランクを上げるしかありません。それもほぼ1年中休むことなくです。WTTシリーズに変わっても、それは同じです。

*アイキャッチ画像はWTT公式サイトからの引用です。

ITTFシリーズからWTTシリーズへ

ITTFは2019年5月にWTT(World Table Tennis)構想を発表しました。それまでよりも卓球の商業的側面を強化することを狙ったものです。WTTはITTFの下部組織なのですが、運営的には並列(同水準)に見えます。

そして2021年から、それまでITTFが主催していた国際大会の多くがWTTが主催するWTTシリーズに置き換えられました。

WTTシリーズの概要

が、コロナ禍の影響があったとは言え、2022年になっても開催数が十分ではなく、また出場に関して制約が多く、特にWRが11位から20位の選手はこれら大会に出場してランキングを上げるのが難しい状況です。

2022年1月から、WTTシリーズの下位のシニア向け大会としてWTTフィーダーシリーズが追加されました。WR30位以内の選手は出場できません。開催数はコンテンダーより多いですが、優勝時のWRポイントはわずか150です。(出場可能選手のWRを考慮すると妥当な設定ですが、WRは失効していないもののうちポイントが高いもの8大会分しか積算されないため、フィーダーシリーズに出まくればいいというものでもありません。)

なお、世界卓球選手権大会はITTFの、アジア競技大会はATTFの主催です。

WTTシリーズの詳細

WTTグランドスマッシュ

  • オリンピック、世界卓球選手権大会(個人戦)と同列のWTTシリーズ最上位大会です。
  • 年間最大4大会開催可能ですが、大会運営に億円単位の費用がかかるため、開催できる国・協会が限られるようです。
  • 本戦10日、予選2~3日のゆったりした日程。
  • シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
  • シングルスの本戦は64名、うち8名は予選64名を通過した選手。
  • ダブルス24ペア、混合ダブルス16ペア(共に予選なし)。
  • シングルスは本戦、予選合わせて各協会から6名までしか出場できません。また世界ランク上位者から優先出場となっています。
  • 世界ランク20位以内の選手参加規制はありません。
  • 出場資格を持つ選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
  • シングルスの準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
  • 優勝選手には2,000ポイントが付与されます。WTTチャンピオンが1,000ポイント、WTTスターコンテンダーが600ポイントですからダントツの高さです。

早田ひな選手が出場したグランドスマッシュ大会です。

WTTカップファイナルズ

  • シニア向けWTTシリーズの上から2番目の大会です。
  • 男女それぞれ年間最大1大会のみ開催可能です。
  • 本戦5日、予選はありません。
  • シングルスとダブルスを実施。出場人数は16名の完全招待制。(世界ランク上位者のみが招待される特別な大会。)
  • 各協会からの出場人数に上限なし。
  • 招待された選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
  • 準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他は5ゲームマッチ。
  • 試合はテーブル1台のみで進行されます。
  • 優勝選手には1,500ポイントが付与されます。

完全招待制で世界のトップ選手だけが出場できる、強い選手ばかりだけど16名しかいないのにWRポイントが高い、TOPランカーを優遇しているという印象です。

早田ひな選手が出場したカップファイナルズ大会です。

WTTチャンピオンズ

  • シニア向けWTTシリーズの上から3番目の大会です。
  • 男女それぞれ年間最大4大会開催可能です。
  • 本戦6日、予選はありません。
  • シングルスのみ実施。出場人数は30名+ワイルドカード1名+WTT推薦1名の合計32名。
  • 各協会から4名までしか出場できません。
  • 世界ランクによる出場制限はありません。
  • 出場資格を持つ選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
  • 準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他は5ゲームマッチ。
  • 試合はテーブル1台のみで進行されます。
  • 優勝選手には1,000ポイントが付与されます。

ところが実際に出場している選手の顔ぶれを見ると、このルールが厳密に運用されていないことにびっくりします。

早田ひな選手が出場したチャンピオンズ大会です。

WTTスターコンテンダー

  • シニア向けWTTシリーズの下から2番目の大会です。
  • 年間最大6大会開催可能ですが、2022年は2回しか開催されませんでした。
  • 本戦5日、予選2~3日の日程で選手によっては1日に4試合に出場します。
  • シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
  • シングルスの本戦は48名、うち8名は予選を通過した選手。
  • 予選人数は32、48、64名から開催国が選択します。
  • ダブルス本戦16ペア、うち4ペアは予選を通過したペア。
  • 混合ダブルス8ペア(予選なし)。
  • シングルスは各協会から6名までしか出場できません。また世界ランク21位以降の上位者から優先出場となっています。
  • 世界ランク20位以内の選手は、全体で6名しか出場できません。
  • 前6週以内にグランドスマッシュまたはチャンピオンズに出場した選手は優先度が下がります。
  • シングルスの準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
  • 優勝選手には600ポイントが付与されます。

ところが実際に出場している選手の顔ぶれを見ると、このルールが厳密に運用されていないことにびっくりします。

早田ひな選手が出場したスターコンテンダー会です。

WTTコンテンダー

  • シニア向けWTTシリーズの最下位大会です。(WTTフィーダーシリーズはWTTシリーズではありません。)
  • 年間最大14大会開催可能です。
  • 本戦4日、予選2~3日の日程で選手によっては1日に4試合に出場します。
  • シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
  • シングルスの本戦は32名、うち8名は予選を通過した選手。
  • 予選人数は48、64、96名から開催国が選択します。
  • ダブルス本戦16ペア、うち4ペアは予選を通過したペア。
  • 混合ダブルス8ペア(予選なし)。
  • シングルスは各協会から4名までしか出場できません。また世界ランク21位以降の上位者から優先出場となっています。
  • 世界ランク20位以内の選手は、全体で3名しか出場できません。
  • 前6週以内にグランドスマッシュまたはチャンピオンズに出場した選手は優先度が下がります。
  • シングルスの準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
  • 優勝選手には400ポイントが付与されます。

ところが実際に出場している選手の顔ぶれを見ると、このルールが厳密に運用されていないことにびっくりします。

早田ひな選手が出場したコンテンダー大会です。

WRポイント

WTTシリーズを含む国際大会で付与されるWRポイント一覧です。

 付与されるWRポイント一覧

出典:ITTF TABLE TENNIS WORLD RANKING REGULATION

その道の専門家が議論を重ねて導入されたものだし、誰にとっても公平なシステムを設計するのはそもそも不可能なので、決めれたルール・制度の中でより上位を目指すしかありません。

WTTになって良かったこと

WTTは、フィーダー大会含めてYouTubeチャンネルで積極的に試合の動画中継(リアルタイム配信)をしています。WTTの目的が卓球の商業化の促進なので当然そうするよねっていう話でもあるわけですが、これにより既存のファンは圧倒的な数の試合を自宅にいながら観戦できますし、新たにファンを増やす起爆剤になると思います。

僕は2021年から早田ひな選手が出場した国際大会、国内大会は全てネットで観戦していますが、ATTU/ITTFが主催した第25回アジア競技大会の中継試合数の少なさには泣きました。次回からは主催がどうであれWTTに運営して欲しいと思いました。

世界卓球2021ヒューストン大会を主催したのはITTFですが、試合情報のサイトでの公開、ネット中継などは全面的にWTTの運営でした。それでいいです。

なお、お気に入りの日本人女子の試合だけストリーミングされなかった(すっ飛ばされた)とか、スコア表示がなくて主審の声だけが頼りだったとか、スコアが10点以降は勝敗が決まるまで更新されないとか、中継に問題があるのも事実です。こういうことは適宜改善して行って欲しいです。

まとめ

印象としては、WR10位以内をキープできる実力を維持し続けて(競争なので継続的な強化を怠らないで)、実際に大会で結果を残せる選手にとっては、WRポイントを稼ぎやすいシステムに見えます。11位以下に落ちるとだんだん苦しくなり、20位あたりが最も出場制限がきびしくてつらいのではないでしょうか。

最大の問題は、WTTが満足な数の大会を開催できていないことです。フィーダー大会はまだ良い方ですが、コンテンダー以上のWTTシリーズは非常に少ないです。

国際大会に積極的に出場してWRポイントを稼ぎたい意思(と資金力がある)選手が、国内大会との重複を避けながら、少なくとも年間8大会以上出場できるだけの十分な開催数が欲しいです。規定ではスターコンテンダーとコンテンダーの合計で年間最大20大会開催可能なのですが、現状それは夢のような話です。

グランドスマッシュは年間最大4大会開催可能で、これに出場すると6週間はスターコンテンダー、コンテンダーの出場優先度が下がる仕組みになっているので、計画(規定)通りに運用できればより多くの選手にとって公平感のあるシリーズになると思います。ところがグランドスマッシュは商業イベントに振り切った結果、大会運営に億円単位の費用がかかるようで、シンガポールで一度開催されたきりです。

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