ITTF(国際卓球連盟)主催の多くの国際大会は、2021年からWTTシリーズに置き換えられました。その上位から3番目に位置するのがWTTチャンピオンズ大会です。
WTTチャンピオンズはシングルスのみ、年間最大4回開催可能、完全招待制、各協会から4名までしか出場できない、優勝すると1,000ポイントが付与されるという、WTTスターコンテンダーより明らかに格上の大会です。
この記事では早田ひな選手が出場したWTTチャンピオンズ大会をまとめています。
*アイキャッチ画像はテレビ東京卓球情報のXポストからの引用です。
WTTチャンピオンズ
- シニア向けWTTシリーズの上から3番目の大会です。
- 男女それぞれ年間最大4大会開催可能です。
- 本戦6日、予選はありません。
- シングルスのみ実施。出場人数は30名+ワイルドカード1名+WTT推薦1名の合計32名。
- 各協会から4名までしか出場できません。
- 世界ランクによる出場制限はありません。
- ワイルドカード枠1名、WTT推薦枠1名。
- シングルスのシード数は8。
- 出場資格を持つ選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
- 準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他は5ゲームマッチ。
- 試合はテーブル1台のみで進行されます。
- 優勝選手には1,000ポイントが付与されます。
付与されるWRポイント
WTTシリーズを含む国際大会で付与されるWRポイント一覧です。WTTチャンピオンズには中国四天王が揃うので、ベスト4に入るのも困難ですが、それに見合うWRポイントが付与されます。
出典:ITTF TABLE TENNIS WORLD RANKING REGULATION
WTTチャンピオンズには、各協会4名までしか出場できないという厳しい制限があります。日本人女子には世界ランクが高い選手が多く、この制限(NER)により出場できないことも普通にあります。世界ランクを上げるには、まず日本人女子の上位4名に入らなければいけないということです。
早田ひな選手が出場したWTTチャンピオンズ大会一覧
2022年10月に開催されたWTTチャンピオンズマカオは、ケガのため欠場しました。
WTTチャンピオンズESS2022(2022年7月18日から23日)
2022年7月にブダペストスマッシュの開催が予定されていましたが、開催1ヶ月前に急遽キャンセルになりました。代わりにWTTスターコンテンダーESSとWTTチャンピオンズESSの連続開催となりました。WTTチャンピオンズは初開催でした。
- R16で石川佳純選手を倒して準々決勝に進みました。石川佳純選手にしっかり勝てて良かったです。
- 準々決勝では陳夢選手にあと一歩及ばず勝てませんでしたが、収穫の大きい試合だったはずです。
WTTチャンピオンズシンシャン2023(2023年4月9日から15日)
準々決勝で陳夢選手をあと一歩のところまで追い詰めましたが、フルゲーム・デュースの末に負けてしまいました。それでも陳夢選手を相手に互角の戦いができたことは大きな自信になったはずですし、不調だったインド、シンガポールの大会から完全に復調したことは間違いないです。その点において、とても収穫の多い大会でした。
WTTチャンピオンズマカオ2023(2023年4月17日から23日)
- 前大会から好調を維持しており、準々決勝での陳夢選手との再戦には期待が持てたものの、陳夢選手が強すぎました。早田選手への対策が完璧で、1週間でここまで変わるものかと中国ナショナルチームの怖さを実感しました。
- R32、R16で快勝できたこと、準々決勝で良いところを封じられたこと、これら経験を糧にしてさらに強くなって欲しいです。
WTTチャンピオンズフランクフルト2023(2023年10月29日から11月5日)
- チャンピオンズでベスト4に入ったことでWRポイントを350獲得しました。
- セーチ選手のトマホークサーブの対策をしっかりしないとダメだと分かりました。
- 王曼昱選手にサーブが効かなかったのはショックが大きいですが、それが分かっただけでも対戦できて良かったと言えます。
- 王曼昱選手の球質は孫穎莎選手、陳夢選手、王芸迪選手とも違うものだったのでしょう。王曼昱選手と互角の勝負ができるようになりたいですね。それがこの時期に分かったことは、中国人選手がいないコンテンダーで優勝するよりも大きな収穫になったはずです。
WTTチャンピオンズ仁川2024(2024年3月27日から31日)
- R32で異質ラバーを使うバトラー選手の変則プレーに翻弄されてしまい、あとちょっと運が悪かったら負けるところまで追い込まれました。この危機を乗り越えて準々決勝まで進出できて良かったです。
- パリオリンピック本番前に粒高ラバーの選手を招聘しての特訓が必要だと分かりました。準決勝で中国人選手と対戦する前に負けるわけにはいきません。
- 準々決勝で孫穎莎選手と対戦し、ゲームカウント2-1とリードしたものの、驚異的な強さを発揮され逆転負けを喫しました。孫穎莎選手に勝つにはまだまだ足りないところが多いことを痛感させられる結果でしたが、石田コーチがインスタグラム・ストーリーズで触れていたように、得るものがたくさんあった試合でした。
- 早田ひな選手の努力の方向性が間違っていないことが、再度証明された大会になりました。
WTTチャンピオンズ重慶2024(5月30日から6月3日)
- R16で対戦したチャン・リリー選手が強くて苦戦しましたが、しっかり勝って準々決勝に進めて良かったです。負けていたらパリオリンピック前最後になる、孫穎莎選手との対戦を逃していました。
- 準々決勝で孫穎莎選手と対戦しましたが、最近さらに強くなった孫穎莎選手に1ゲームも取らせてもらえずストレート負けでした。トマホークサーブを試したり、これまで見たことのなかった積極的なプレーもあって、単に負けましただけではない、確かな収穫もあった試合でした。それでもパリオリンピックまでにその絶望的に大きい実力差を埋めるのは無理なので、どうやって戦うか、本番までにどんな技術に注力するかが課題になります。
- 結果ベスト8で付与されたWRポイントは175でした。
- 前週に地球の反対側にあるリオデジャネイロで決勝まで戦い、重慶での試合まで現地で2日しかない強行軍になりました。コンテンダーリオに出る選択には、チャンピオンズ重慶でのパフォーマンスに悪影響を与えるリスクがありましたが、なんとか準々決勝まで進み、孫穎莎選手としっかり戦えて良かったです。