ダブルス種目は右利きと左利きの選手がペアを組むのが理想的と言われます。張本智和選手は右利き、早田ひな選手は左利き(卓球だけですが)で、年上の早田選手が張本選手をリードするプレーで素晴らしい成績を残してきました。二人とも好調なら中国トップ選手のペア以外には負けない程の強さですが、世界最強である王楚欽/孫穎莎ペアには全く歯が立ちません。
いつか近い将来、その世界最強ペアに勝てるようになりたいものです。ハードルは高いですが、はりひなペアが夢の舞台に最も近い位置にいることは確かです。
*アイキャッチ画像はJIJI.COMの記事からの引用です。
はりひなペア
張本智和選手と早田ひな選手による混合ダブルスは「はりひなペア」の愛称で親しまれています。ダブルス巧者である早田選手は、パートナーに合わせてカメレオンのように自分を変えられると話していますが、それは混合ダブルスにも言えそうです。
ペア初結成は2019年のようです。ITTF主催のワールドツアーに積極的に出場して結果も残しました。が、2020年の全日本選手権は張本智和/長﨑美柚ペアで出場しました。(早田選手の混合ダブルス出場はありません。)2021年の全日本選手権はシングルスのみの開催、2022年にはりひなペアで初優勝しています。
はりひなペアは、みまひなペアより数年遅れて活躍し始めましたが、パリオリンピックの混合ダブルスに最も近いペアだと言えるでしょう。
2020年まで
このブログは2021年以降の大会を扱っていますが、はりひなペアについては2020年以前の主な戦績も調べました。
2019 ITTFワールドツアープラチナ・ジャパンオープン(2019年6月)
準決勝で樊振東/丁寧ペアに勝ちましたが、決勝で許昕/朱雨玲ペアに敗れて準優勝でした。
準決勝のフル動画。
決勝のフル動画。
2019 ITTFワールドツアープラチナ・スウェーデンオープン(2019年10月)
準々決勝で許昕/劉詩雯ペアに敗れてベスト8でした。
フル動画。
2019 ITTFワールドツアープラチナ・オーストリアオープン(2019年11月)
決勝で林高遠/朱雨玲ペアに勝って優勝しました。
フル動画。
試合後のインタビュー。
2021年
2021年は東京オリンピックの開催もあって、はりひなペアが出場した大会は1つだけでした。
世界卓球2021ヒューストン(11月23日から29日)
はりひなペアは準決勝で林高遠/チャン・リリーペアに勝利しましたが、決勝で王楚欽/孫穎莎ペアに負けて準優勝でした。
2022年
はりひなペアの課題と将来性の両方がはっきり見えた年になりました。
全日本選手権大会(1月24日から30日)
はりひなペアは苦しみながらも初優勝しました。
シンガポールスマッシュ2022(3月7日から20日)
はりひなペアは勝ち進めれば準決勝で王楚欽/孫穎莎ペアと当たるドローでしたが、2回戦(準々決勝)で香港ペアに負けてしまい、悔しいベスト8でした。
WTTコンテンダーザグレブ2022(6月13日から19日)
今大会には王楚欽/孫穎莎ペアは出場しておらず、はりひなペアは期待通りに優勝に優勝しました。
WTTスターコンテンダーESS2022(7月11日から17日)
はりひなペアの混合ダブルスは、王楚欽/王曼昱ペアに負けて準優勝でした。
2023年
はりひなペアは国内ではほぼ最強ですが、世界選手権大会(個人戦)で王楚欽・孫穎莎ペアとどこまで戦えるでしょうか。
全日本選手権大会(1月23日から29日)
はりひなペアは全日本2連覇でした。
WTTスターコンテンダーゴア2023(2月27日から3月5日)
調子は悪くなかったのですが、準決勝で張禹珍/田志希ペアに敗れてしまい、ベスト4でした。
シンガポールスマッシュ2023(年3月7日から19日)
準決勝で樊振東/王曼昱ペアにストレートで勝利して決勝に進みましたが、王楚欽/孫穎莎ペアに敗れて準優勝でした。
世界卓球2023ダーバン大会(個人戦、5月20日から28日)
はりひなペアは準決勝で林詩棟/蒯曼ペアを破って決勝に進みましたが、世界最強ペアである王楚欽/孫穎莎ペアに圧倒されて準優勝でした。
2023年アジア選手権大会(9月3日から10日)
世界最強ペアである王楚欽/孫穎莎ペアがエントリーしておらず、はりひなペアは第1シードでした。ところが張本智和選手が右手に問題を抱えていて、万全な状態ではない中での戦いになり、準々決勝で林高遠/王芸迪ペアに負けてしまいました。
2022年アジア競技大会(10月2日から8日)
はりひなペアは第2シードで、順当なら準々決勝で林高遠/王芸迪ペアと、決勝で王楚欽/孫穎莎ペアと当たるドローでした。何としても決勝まで進んで、世界最強ペアと再戦するのが最低目標だったはずです。
ところが準々決勝で林高遠/王芸迪ペアに完敗し、アジア選手権大会に続いてベスト8で終わりました。敗因をひとことで言うなら、ペアとして仕上がっていませんでした。
WTTスターコンテンダー蘭州2023(10月2日から8日)
準決勝で韓国最強ペアには勝利したものの、決勝で(世界最強ペアに競り勝った)中国の若手ペアに惜しくも負けてしまい、非常に悔しい、そして課題の多い結果となりました。
WTTコンテンダーマスカット2023(10月8日から14日)
優勝が期待されたはりひなペアでしたが、本来の調子からは程遠く、準々決勝で松島/張本ペアに力なく負けてしまいベスト8でした。その松島/張本ペアは準優勝でした。
WTTコンテンダーアンタルヤ2023(10月16日から22日)
はりひなペアは第2試合途中から復調して本来の動きを取り戻し、苦しみながらも優勝しました。今大会、張本智和選手はシングルスにエントリーしておらず、なんとしてでも混合ダブルスで結果を出したかったはずです。張本選手は漢でした。
2024年
WTTスターコンテンダードーハ2024(1月8日から13日)
準決勝までは行きやすい恵まれたドローで、絶対に決勝まで進んで王楚欽/孫穎莎ペアとの再戦することを目標にしたはずです。ところが準々決勝でペアの課題が出る形でルーマニアペアに惜敗してしまい、悔しいベスト8でした。
シンガポールスマッシュ2024(3月10日から17日)
コンディション不良だった早田ひな選手は状態を上げて、張本智和選手にも引っ張られて準決勝に進みましたが、負けてはいけない韓国最強ペアに負けてベスト4でした。オリンピックの第2シード確保に赤信号点灯です。
サウジスマッシュ2024(5月1日から11日)
林鐘勳/申裕斌ペアがR16でスウェーデンペアに敗れたので追い上げる絶好のチャンスでしたが、準決勝で世界最強ペアに負けてしまいベスト4でした。
WTTコンテンダーリオデジャネイロ2024(5月20日から26日)
調子が上がらない中なんとか決勝まで進みましたが、林鐘勳/申裕斌ペアに完敗し、大きな課題を残す結果になりました。
WTTコンテンダーザグレブ2024(6月3日から9日)
調子が上がらないまま大会がスタートしましたが、徐々に修正して決勝に進出し、韓国ペアと対戦しました。負けるパターンは明らかで今大会もそれを踏襲する流れでしたが、最終ゲームでタイムアウト後の戦術転換が奏功して勝利をつかみ、久しぶりに優勝できました。
林鐘勳選手を抑えられれば勝てる、今のはりひなペアの実力でも抑える手段は存在することが分かった、勝てると実証できたことは非常に大きな収穫でした。
WTTスターコンテンダーリュブリャナ2024(6月10日から16日)
前週よりペアの状態が上がっており、林鐘勳/申裕斌ペアとの決勝でもペアの良さを発揮して優勝できました。不利なローテーションで林鐘勳選手を抑えられない課題は改善されないままですが、有利なローテーションでしっかり勝って最終ゲームで逃げ切りを図れたことは、試合内容の評価は別にして、ペアにとって非常に大きな収穫になりました。
WTTコンテンダーチュニス2024(6月25日から30日)
はりひなペアは仕上がりが良く、特に張本智和選手が絶好調で、早田ひな選手を引っ張る形で厳しい試合に競り勝って、目標通り優勝しました。
はりひなペアはパリオリンピックの第2シードを林鐘勳/申裕斌ペアから奪取するため、負けられない戦いを続けています。3大会連続で優勝したことでその望みを最後の対象大会であるスターコンテンダーバンコクにつなぎました。
WTTスターコンテンダーバンコク2024(7月2日から7日)
はりひなペアが逆転でパリオリンピックの第2シードを獲るには、次の条件をクリアする必要がありました。
- はりひなペアが優勝する。
- 林鐘勳/申裕斌ペアがベスト4以下。(決勝に進出しない。)
その林鐘勳/申裕斌ペアが準々決勝で地元タイペアに負けたため、優勝すれば自力で第2シードを奪取できるようになりました。そして準決勝で台湾ペア、決勝で香港ペアに勝って優勝し、パリオリンピックの第2シードを手にしました。4大会連続での優勝でした。
とがひなペア
はりひなペアがパリオリンピックの混合ダブルスに最も近い存在であることは間違いありません。が、戸上隼輔選手も同じ目標を持っているはずです。とがひなペアも破壊力抜群で、初結成で2大会連続優勝しており、将来性抜群と言えます。