2021年に開催されたアジア選手権大会は中国が参加を見送ったことから、他の強豪国が優勝を狙えるまたとないチャンスとなりました。日本女子は東京オリンピック組が不在であったにも関わらず、47年ぶりの団体戦優勝を手にし、層の厚さを示しました。
早田ひな選手はシングルス、とがひなペアによる混合ダブルスでも優勝し、3冠を達成して最高の結果を残しました。
*アイキャッチ画像はテレビ東京卓球チャンネルからの引用です。
大会の仕様
- 2年に1度、奇数年に開催されるアジア地区の大会。
- 種目はシングルスのみによる男女団体戦、男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルス。
- 団体戦は本戦から6ヶ国+予選リーグを勝ち上がった2ヶ国の計8ヶ国によるトーナメント戦。
- シングルスはRound 128から、ダブルス、混合ダブルスはRound 64または32からと試合数が多い。
- 全種目全試合5ゲームマッチ。
- 2023年開催予定のアジア選手権大会のシングルスは、パリオリンピック選考ポイント付与対象。
大会情報
- 期間:2021年9月28日から10月5日
- 場所:カタールのドーハ(日本との時差6時間、現地10:00が日本の16:00)
- 出場種目:シングルス、混合ダブルス、団体(本戦から出場)
- 参照:ITTFの公式ホームページ
日本女子は出場資格を有していた東京オリンピック出場メンバー(伊藤美誠選手、石川佳純選手、平野美宇選手)が回避(休養)したため、選考会を勝ち抜いた上位5名が出場しました。
また中国は、中華人民共和国全国運動会(9月15〜27日)が直前まで開催されたこと、コロナ禍による渡航・検疫の制限を理由として、不参加でした。そのため今大会は中国以外の強豪国が優勝を狙える、またとないチャンスでした。
ネット中継
いろいろと批判されることが多いWTTですが、ネット中継は充実しています。アジア選手権大会はITTF/ATTUの主催ですが、中継されない試合が多かったです。
公式には、テレビ東京卓球チャンネルのストリーミングが頼りでしたが、対象の試合が非常に少なかったです。(真夜中に文字だけのライブスコアを見ながら応援した試合もありました。)
また残念ながら当初テレビ東京卓球チャンネルにあったアーカイブのいくつかが非公開になってしまいました。素晴らしいコンテンツなので残しておいて欲しかったです。
団体戦:優勝
日本女子団体は47年ぶりに優勝しました。中国が不参加だったからというのは事実ですが、香港チーム、韓国チームを倒しての優勝ですから、素晴らしい結果であることは間違いありません。
引用:日本卓球協会
この団体戦のベンチコーチは、なんと、石田大輔コーチでした。試合に出る3人の選手を選ぶところから大変だったはずです。全選手を起用して優勝し、結果的に全選手が2ゲームずつ戦えたというのは、石田コーチの人柄ゆえのことでしょう。
準々決勝
インドチームとの対戦でした。日本は佐藤瞳選手、芝田沙季選手、長﨑美柚選手が出場しました。
この試合は中継されず、アーカイブ動画も残っていません。
第1試合
Sreeja AKULA選手と佐藤瞳選手の対戦でした。
ストレート勝ちでした。
第2試合
Archana Girish KAMATH選手と芝田沙季選手との対戦でした。
激戦だったようです。
第3試合
Sutirtha MUKHERJEE選手と長﨑美柚選手との対戦でした。
2-3で負けてしまいました。ゲームカウントは2-1に。
第4試合
Sreeja AKULA選手と芝田沙季選手の対戦でした。
激戦だったようですが、勝てて良かったです。
準決勝
香港チームとの対戦でした。日本は安藤みなみ選手、早田ひな選手、佐藤瞳選手が出場しました。
ダイジェスト。
第1試合
朱成竹選手と安藤みなみ選手との対戦でした。
フルゲームの激戦になりましたが、この試合を取れたのが大きかったと思います。
アーカイブ動画は残っていません。
第2試合
杜凱琹(トガイキン)選手と早田ひな選手との対戦でした。このオーダーは石田大輔コーチの読み通りだったでしょうか。
- 第1ゲーム、序盤1-6と出遅れますが7連続得点で8-6とします。そのままリードを保って11-8で取ります。
- 第2ゲーム、接戦になりますがサーブからの組み立てが良く、プレーの精度が高い早田選手がリードを広げて11-4で取ります。
- 第3ゲーム、両者譲らず9-9まで競りますが、最後きっちり2本決めて11-9で勝ち切ります。
ダイジェスト。
第3試合
呉穎嵐(ウ・ウィンナム)選手と佐藤瞳選手との対戦でした。
安定したプレーでストレート勝ちでした。
アーカイブ動画は残っていません。
決勝
韓国チームとの対戦でした。日本は安藤みなみ選手、早田ひな選手、長﨑美柚選手が出場しました。
ダイジェスト。
第1試合
申裕斌(シン・ユビン)選手と安藤みなみ選手との対戦でした。強敵との第1試合に勝ってチームに勢いをつけることができました。
安藤みなみ選手、落ち着いていました。
フル動画。
第2試合
田志希(チョン・ジヒ)選手と早田ひな選手との対戦でした。このオーダーを予想してぶつけてきたのだと思いますが、わずか5日前にスターコンテンダーの準決勝で対戦したばかりで、お互い意識したことでしょう。
- 第1ゲーム、ほぼラリーにならない展開で7-6まで競りますが、そこから4連続得点で11-6で取ります。
- 第2ゲーム、ラリーになる展開が増えます。両者特徴あるプレーで攻めますが、接戦で9-9まで競ります。ここからサービス2本を強気で攻めて11-9でこのゲームも取ります。
- 第3ゲーム、バックハンドのミスを連発して5-11であっさり落としてしまいます。
- 第4ゲーム、第3ゲームの悪い流れを引きずらず、強気の攻めで6-2とリードします。ラリーでは徹底してミドルを攻めて打ち勝ち、サーブも効いて田志希選手の反撃を許さず、11-6で勝ち切りました。
難しい試合だったはずですが、勝てて良かったです。
フル動画。
第3試合
李時温(イ・シオン)選手と長﨑美柚選手との対戦でした。長﨑選手はインド戦の3番手で負けていたので、この試合には絶対に勝ちたいと思っていたはずです。
接戦を制してストレート勝ちし、チームの優勝を決めました。長﨑美柚選手、素晴らしかったです。
フル動画。
シングルス:優勝
早田ひな選手はRound 64からの登場で、準々決勝以降は普通に強敵と当たるドローでした。
準決勝で芝田沙季選手、決勝で申裕斌(シン・ユビン)選手に勝って見事優勝しました。アジア選手権のシングルスでの優勝は、2017年大会の平野美宇選手以来2大会ぶりの快挙でした。
Round 64(1回戦)
香港の李皓晴選手との対戦でした。
動画はありません。
Round 32(2回戦)
ウズベキスタンのKHADJIEVA Rozalina選手との対戦でした。
動画はありません。
Round 16(3回戦)
スリランカのSALPAHDORU Muthumali選手との対戦でした。
動画はありません。
準々決勝
- 第1ゲーム、両者一歩も譲らず6-6まで競りますが、そこから強烈なフォアドライブ2本などで抜け出し、11-7で取ります。
- 第2ゲームも接戦になり6-6まで競りますが、そこからリードを広げてこのゲームも11-7で取ります。
- 第3ゲーム、強烈なフォアドライブによる得点で流れをつかみ、8-2と大量リードします。ミスが増えて9-7まで追い上げられますが、このゲームも11-7で取って勝ち切りました。
勝てて良かったです。
フル動画。
ダイジェスト。
準決勝
芝田沙季選手との対戦でした。最終ゲームは心臓に悪かったです。
- 第1ゲーム、接戦になりますが勝負どころでポイントを重ね11-7で取ります。
- 第2ゲーム、両者一歩も譲らず6-6まで競ります。そこからミスが増えて8-11で落としてしまいます。
- 第3ゲーム、実力が拮抗していて点差が開かず6-6まで競ります。そこから打ち合いを制してリードを広げ、追い上げる芝田選手を振り切って11-8で取ります。
- 第4ゲームも競った展開になりますが、柴田選手のミスを誘って8-5とリードを広げます。ところが今度は早田選手がミスを連発して6連続失点で落としてしまいます。ゲームカウント3-3で勝負は最終ゲームへ。
- 最終第5ゲーム、流れをつかめず2-5とリードされる苦しい展開になります。それでも積極的姿勢を崩さず8-8で追い付きます。息詰まる展開の中、9-10で先にマッチポイントを握られますが、強気の攻撃でしのぎます。最後はフォアハンドとバックハンドを振り切って12-10で激戦をものにしました。最後はメンタル勝負でした。
芝田沙季選手強かったです。わずかに運が足りなかったら負けていました。
ダイジェスト。
決勝
韓国の申裕斌(シン・ユビン)選手との対戦でした。
- 第1ゲーム、序盤5-2とリードしますが、そこからミスを連発して7連続失点で5-9とされます。最後まで流れを引き戻せず7-11で落とします。
- 第2ゲーム、ミスが減り得点パターンが増えて9-3と大量リードします。そのまま11-4で取り返します。
- 第3ゲーム、質の高いプレーを出し合う接戦になりますが、ラリー戦に強い申裕斌選手に6-8とリードされます。そこから精度の高いプレーで5連続得点し、11-8でこのゲームも取ります。
- 第4ゲーム、サーブからの組み立て、ラリーでのコース取りが良く、台上技術も冴えて9-2と大量リードします。そのまま流れを渡すことなく11-4で勝ち切り、価値ある優勝を手にしました。
シングルスでも優勝し、3冠を達成できて本当に良かったです。
フル動画。
表彰式。
混合ダブルス:優勝
戸上隼輔選手と組んだ「とがひなペア」で2大会連続優勝を達成しました。
ドローはともかく準々決勝以降は確実に強敵と当たるわけで、優勝できたことはペアにとって大きな自信になったことでしょう。
Round 32(2回戦)
スリランカペアとの対戦でした。
動画はありません。
Round 16(3回戦)
タイペアとの対戦でした。
動画はありません。
準々決勝
台湾ペアとの対戦でした。激戦だったようです。
残念ながら動画はありません。
準決勝
黄鎮廷/杜凱琹の香港ペアとの対戦でした。直前の大会の準決勝でも対戦して勝っています。
残念ながら動画はありません。残念すぎます。
決勝
張禹珍(ジャン・ウジン)/田志希(チョン・ジヒ)の韓国ペアとの対戦でした。直前の大会の決勝でも対戦して勝っています。お互い、意識しないなんて無理です。
- 第1ゲーム、接戦になり6-6まで競りますが、そこからミスを連発して6-11で落とします。
- 第2ゲーム、4-4まで競りますがそこからやや流れが良くなり、らしいプレーも増えて11-9で取り返します。
- 第3ゲーム、苦労しながらも9-4とリードを広げますが、そこから逆襲にあい9-7まで追い上げられます。危ない雰囲気を断ち切って11-7でこのゲームも取ります。
- 第4ゲーム、両者一歩も譲らず9-9まで競ります。ここから早田選手のフォアドライブで10-9とし、最後は張禹珍選手のチキータがミスになって激戦に勝ち切り、2大会連続優勝を手にしました。
ゲームカウント3-1での勝利でしたが、逆の結果になっていてもおかしくなかったです。勝てて良かったです。
フル動画。
ダイジェスト。
ハイライト。
スーパードライブ。
表彰式。
おまけ
早田ひなファンへのサービス動画。
早田ひなシングルスダイジェスト。
まとめ
- 団体戦の47年ぶりの優勝に貢献しました。出場した5選手、石田大輔コーチ、みんな素晴らしかったです。
- シングルスは芝田沙季選手との準決勝、申裕斌選手との決勝を勝ち抜いて優勝しました。これにより獲得した500ポイントは2022年の戦いを優位に進めるのに大きく寄与しました。
- 混合ダブルスは戸上隼輔選手と組んだとがひなペアで2大会連続で優勝し、今大会3冠を達成しました。
また、アジア選手権のシングルス優勝者には2年後(次)のアジア選手権シングルスの出場資格が付与されてきたので、おそらく早田ひな選手は2023年開催予定のアジア選手権大会シングルスの出場資格を得ていると思われます。(正しいことは選考基準が発表されるまで分かりません。)この大会のシングルスはパリオリンピック選考ポイント付与対象なので、選考レースを勝ち抜く上で重要です。
大会終了後
石田大輔コーチのインスタグラムです。素晴らしい。
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早田ひな選手のツイートです。
WTTカタール、アジア選手権の2大会が終わり目標としていたWTT2冠、アジア選手権3冠を達成する事が出来ました👑🏆
連日夜遅くまで沢山の応援本当にありがとうございました🙇♂️
沢山の方にサポートしていただき感謝の気持ちでいっぱいです!!
11月の世界選手権でも良い結果が出せるよう頑張ります💪 pic.twitter.com/liWPuBU61v— 早田ひな (@hayata_hina) October 5, 2021