国際大会

WTTコンテンダーチュニス2025の結果詳細

早田ひな選手はパリオリンピックで受けた左腕の怪我から復帰後、積極的に国際大会に出場しています。まだ怪我からの復帰途上で、満足の行く結果は得られていませんが、ここからは上がっていくだけの状態とされています。

早田ひな選手は5月以降WRポイントの失効が続くため、そろそろポイントを補充しておきたいところです。今大会はエントリーした選手の顔ぶれ、ドロー結果から、目標は優勝だったと思われますが、決勝で張本美和選手に完敗して準優勝でした。決勝戦は実力差を感じる完敗だったものの、非常に収穫の大きい大会になりました。

*アイキャッチ画像はこちらの動画からの引用です。

WTTコンテンダー

  • シニア向けWTTシリーズの最下位大会です。(WTTフィーダーシリーズはWTTシリーズではありません。)
  • 年間最大14大会開催可能です。
  • 本戦4日、予選2~3日の日程で選手によっては1日に4試合に出場します。(今大会は本戦3日の超タイトなスケジュールで、選手は最大1日に6試合に出場します。)
  • シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
  • シングルスの本戦は32名、うち8名は予選を通過した選手。
  • 予選人数は48、64、96名から開催国が選択します。
  • ダブルス、混合ダブルス本戦16ペア、うち4ペアは予選を通過したペア。
  • シングルスは各協会から本戦4名、予選は4名または8名までしか出場できません。(世界ランク20位以内の選手を除きます。)また世界ランク21位以降の上位者から優先出場となっています。
  • 世界ランク20位以内の選手は、全体で4名しか出場できません。ホスト国はその4名を選ぶ裁量権を持ちます。(2024年までは3名)
  • ワイルドカード枠3名、WTT推薦枠1名は上記制限の対象外。予選のワイルドカード枠は8名。
  • シングルスのシード数は8。
  • 前6週以内にグランドスマッシュまたはチャンピオンズに出場した選手は優先度が下がります。
  • シングルスの決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
  • 優勝選手には400ポイントが付与されます。

WTTコンテンダーチュニス2025

ネット中継

  • WTTがYoutubeチャンネルでT1からT4をリアルタイム配信しました。
  • テレビ東京卓球チャンネルは本戦2日目(Round 16)からT1をリアルタイム配信しました。
  • テレビ東京卓球チャンネルはアーカイブの公開が迅速ですが、WTT公式チャンネルはしばらく待たされることがあります。
  • 最終日のセッション1(シングルス準決勝)の第2試合途中まで、テレビ東京卓球チャンネルの配信がトラブルによりできませんでした。WTT本家の配信は正常だったそうです。

シングルス出場選手

本戦から出場する24名の顔ぶれです。早田ひな選手はWR6位で第2シードでした。

本戦から出場する24名の顔ぶれ

エントリーから考えて、早田ひな選手には悪くても準優勝が求められる大会でした。

シングルス:準優勝

順当なら準々決勝で長﨑美柚選手、準決勝は木原美悠選手か横井咲桜選手、決勝で張本美和選手か大藤沙月選手と当たるドローでした。

これはR32を通過した16名のドローです。

R16のドロー

出典:日テレNEWS

早田ひな選手は決勝でとんでもなく強い張本美和選手に完敗して準優勝でした。

Round 32(X回戦)

ルーマニアのドラゴマン選手との対戦でした。世界卓球2024釜山大会(団体戦)で対戦しています。

ルーマニアのドラゴマン選手

接戦を制して勝ちました。勝てて良かったです。

ドラゴマン選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続いて9-9まで競ります。10-9とゲームポイントを握りますが台上プレーにミスが出てデュースになります。そこから本しっかり決めてこのゲームを取ります。ドラゴマン選手、いくらでも打ち返してきます。手強いです。
  • 第2ゲーム、早田選手の仕上がりは良さそうですが、ドラゴマン選手は打ち合いに強く、リードすることができません。8-8まで競りますが、危ない1本をドラゴマン選手のミスでしのぎ、チキータレシーブを決めて吠えます。最後サーブ3球目攻撃を狙いすましたバックハンドで決めて11-8でこのゲームも取ります。バックハンドは良く振れているし精度も高いです。
  • 第3ゲーム、ようやくドラゴマン選手のボールに順応したのか、早田選手がリードを広げる展開が続きます。失点の多かったフォアサイドに振られたボールにも対応します。危なげなく11-4で勝ち切り、ストレート勝利を手にしました。

サーブは効いていたし、バックハンドも良く振れていました。第1、第2ゲームは打ち負けての失点が多かったですが、第3ゲームはしっかり修正・対応できました。接戦になった、難しい初戦をものにできて良かったです。

フル動画。

この試合のスーパープレー。

Round 16(X回戦)

スウェーデンのリンダ・ベリストレム選手との対戦でした。WTTスターコンテンダードーハ2024での対戦ではゲームカウント0-2から逆転勝ちでした。

スウェーデンのリンダ・ベリストレム選手

前回対戦時の経験を活かしてしっかり勝ちました。入念な準備をして試合に臨めていた印象です。

リンダ・ベリストレム選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、早田選手がリードを保つ展開が続きます。10-6から10-8と追い上げられますが、コントロールの効いたサーブでエースして11-8でこのゲームを取ります。早田選手、仕上がりは良さそうです。
  • 第2ゲーム、接戦で5-5まで競りますが、そこから流れをつかんで引き離し、11-6でこのゲームも取ります。早田選手のプレーは安定しています。
  • 第3ゲーム、安定したプレーでリードを広げ、危なげなく11-5で勝ち切り、準々決勝進出を決めました。

早田ひな選手、今日はバックハンドでのブロックが良かったです。怪我により満足にバックハンドを振れなかった時に練習した成果が表れているのかも知れません。

フル動画。

ハイライト。

この試合のスーパープレー。

準々決勝

長﨑美柚選手との対戦でした。WTTコンテンダーリオデジャネイロ2024の決勝でフルゲームデュースの末に負けています。その時は早田ひな選手らしくない、詰めの甘さが目立ちました。

長﨑美柚選手

負けてもおかしくない試合内容でしたが、接戦を制して勝つことができました。勝てて良かったです。

長﨑美柚選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、早田選手にミスが多くリードできない状態が続き、8-10と先にゲームポイントを握られます。そこから4連続得点して12-10でこのゲームをもぎ取ります。早田選手らしいとも言えますが、長﨑選手のぼボールに合っていないプレーが目立ち、良くないです。
  • 第2ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続いて9-9まで競ります。そこからレシーブ2本、ミドルを攻めてミスを誘い、11-9でこのゲームも取ります。バックハンドは良く振れているし、精度も高いのですが、フォアハンドのオーバーミスが多いです。
  • 第3ゲーム、流れをつかまれ2-6と大量リードを許します。追い上げますが8-10とゲームポイントを握られます。デュースに持ち込みますが、11-13でこのゲームを落とします。
  • 第4ゲーム、接戦で7-6となったところでタイムアウトを取ります。そこから4連続得点して11-6で逃げ切り、静かに右手拳を何度も振りました。

ゲームカウントは3-1ですが、内容的には危なかったです。課題が多く見つかった試合になりましたが、とにかく勝てて良かったです。今大会では結果が重要です。

フル動画。

ハイライト。

この試合のスーパープレー。

準決勝

横井咲桜選手との対戦でした。国際大会で対戦するのは初めてです。

横井咲桜選手

攻撃力の高い横井咲桜選手に圧倒される形で第1ゲームを失いますが、第2ゲーム以降その勢いを封じて勝利しました。

横井咲桜選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、4-5まで競りますが、そこからフォアサイドを攻められて失点を重ねます。打ち合いで後手に回ることが多く、あっさりと5-11でこのゲームを落としてしまいます。このペースでは好調の横井選手に勝てません。
  • 第2ゲーム、早田選手は明らかにギアを上げ、攻撃が後手に回らないように攻めます。サーブも横井選手の読みを外して効くようになり、第1ゲームとは別人のようなプレー内容でリードを広げます。11-5でこのゲームを取り返します。
  • 第3ゲーム、課題だったフォアハンドの精度が上がり、動きも良くなってリードを保つ展開が続きます。声もよく出ています。攻撃的なプレーを貫き、11-5でこのゲームも取ります。
  • 第4ゲーム、準々決勝でミスの多かったフォアハンドですが、横井選手のボールを強打できるようになります。9-2でチキータレシーブをストレートコースに決めるなど、気の緩みを感じさせません。横井選手を圧倒する形で11-3で勝ち切って、張本美和選手が待つ決勝進出を決めました。

第2ゲームからギアを上げて、今大会好調の横井咲桜選手の勢いを封じる形で勝ちました。早田ひな選手、冷静でした。

フル動画。

ハイライト。

この試合のスーパープレー。

決勝

張本美和選手との対戦でした。今大会出場した3種目すべてで決勝に進出しており、疲労度は相当なものだと思われますが、シングルスの準決勝で大藤沙月選手を圧倒するなど絶好調です。

張本美和選手

過去にパリオリンピック選考会で負けた時とは違って、持てる技術を制限なく出して戦いましたが、張本美和選手が強すぎて完敗でした。

張本美和選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続いて9-9まで競ります。デュースになりますが、張本選手に押し切られて11-13でこのゲームを落とします。張本選手、打ち合いに恐ろしく強いです。
  • 第2ゲーム、いくらでも強いボールを打ち返してくる張本選手に流れをつかまれてしまい、あっけなく2-11でこのゲームも落とします。早田選手がこんな大差でゲームを落とすのは珍しいです。
  • 第3ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続きます。張本選手は状態が良く、早田選手のボールの距離感をつかんでいるようで、ほぼなんでも強く打ち返して来ます。撃ち負ける形で9-11でこのゲームも落としてしまい、後がなくなります。
  • 第4ゲーム、接戦を制して11-7でこのゲームを取り返します。
  • 第5ゲーム、1点をとるのに苦労する状況で、点差の開かない展開が続きます。10-8とゲームポイントを握りますが、1点が遠くデュースに持ち込まれます。最後まで諦めない姿勢を見せますが、ロングサーブに回り込んでフォアハンドで強打したボールまでカウンターされるなど今日の張本選手は強すぎました。11-13で敗戦となり、準優勝でした。

最近の中国人トップ選手との対戦内容、今大会の勝ち上がりの様子から、過去の対戦のようには勝たせてもらえないとは思っていましたが、「まさかここまでとは」というのが実感です。全日本選手権の時とは別人のような強さでした。早田ひな選手は中国四天王と戦っているような感覚だったのではないでしょうか。

早田ひな選手はこの敗戦を糧に、もっと強くなるはずです。

フル動画。

ハイライト。

表彰式。

試合結果を伝える記事。

まとめ

  • 早田ひな選手は5月以降WRポイントの失効が続くため、そろそろポイントを補充しておきたいところでした。今大会はエントリーした選手の顔ぶれ、ドロー結果から、目標は優勝だったと思われます。
  • 長﨑美柚選手、横井咲桜選手に勝って決勝に進みましたが、とんでもなく強い張本美和選手に完敗して準優勝でした。
  • 決勝戦は実力差を感じる完敗だったものの、準決勝までの戦いも含めて非常に収穫の多い、充実した大会になりました。
  • 付与されたWRポイントは280でした。失効予定のポイントの大きさから、6月以降もコンテンダーシリーズに積極的に出場する必要がありますね。もちろん怪我からの回復の状況、体調を優先しての選択になります。
  • 今大会は世界卓球2025ドーハ前の最後の大会でした。張本美和選手に完敗したものの、現在の実力を確認し、自信と課題を得た上で世界卓球に向けて最終調整できます。その意味でも今大会は価値のあるものになりました。

大会終了後

早田ひな選手は大会終了後、インスタグラムストリーズに「少しずつ光が見え始めている気がします」と投稿していました。目標としているところに一直線には辿り着けないけど、頑張るという意思表明もありました。

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