ITTF(国際卓球連盟)主催の多くの国際大会は、2021年からWTTシリーズに置き換えられました。コロナ禍だけではない、様々な理由によりWTTは計画通りに十分な数の大会を開催できていませんでしたが、2023年以降は正常化され、2024年には十分な数の大会が開催されました。
2024年はパリオリンピックを理由にWR20位以内の選手への出場制限(PDR)が一時停止されましたが、パリオリンピック終了後に再開されています。この不公平感の強いPDRが廃止されないのは、WTTの大きな問題のひとつだと思います。
でも決められたルール・制度の範囲内でより多くの国際大会に出場して実力を発揮し、WRポイントを稼いで世界ランクを上げるしかありません。それもほぼ1年中休むことなくです。
この記事ではWTTシリーズについてどこよりも分かりやすく解説します。
*アイキャッチ画像はWTT公式サイトからの引用です。
2024年から変更されています
WTTシリーズは2025年になって大きな変更が行われています。2024年版については「【2024年版】卓球の国際大会 WTTシリーズとは何か」をご覧ください。
WTTチャンピオンズの開催数増加
2024年まで、WTTチャンピオンズの年間最大開催数は4でした。2024年には5大会開催されましたが、2025年からは6大会に増えました。
WTTファイナルズを大幅に変更
- WTTファイナルズの対象種目はシングルスとダブルスで、男女別で開催可能でした。2025年からダブルスが廃止され代わりに混合ダブルスが採用されました。
- WTTファイナルズの出場資格付与には世界ランキングが使われていましたが、2025年からWTTファイナルズ専用ランキングが使われます。
- 混合ダブルスは4チームずつ2グループに分かれて行うリーグ戦(予選ラウンド)が設けられました。上位2チーム(合計4チーム)が決勝トーナメントに進出します。
スターコンテンダーのNER
スターコンテンダーのシングルスに各協会から出場できる人数(NER)は本戦+予選で6名でした。(世界ランク20位以内の選手を除きます。)これが次のように変更されました。
- 本戦のNERは4名。(ワイルドカード枠、WTT推薦枠を除く)
- 予選のNERは6名。(ワイルドカード枠を除く)
PDRの選手数増加
- WTTスターコンテンダーのPDRの選手数を6から8に増加。
- WTTコンテンダーのPDRの選手数を3から4に増加。
ITTFシリーズからWTTシリーズへ
ITTFは2019年5月にWTT(World Table Tennis)構想を発表しました。それまでよりも卓球の商業的側面を強化することを狙ったものです。WTTはITTFの下部組織なのですが、運営的には並列(同水準)に見えます。
そして2021年から、それまでITTFが主催していた国際大会の多くがWTTが主催するWTTシリーズに置き換えられました。また、2022年1月から下位大会としてWTTフィーダーシリーズが追加されています。
2023年は大会の開催数が増えましたが、グランドスマッシュは1回しか開催されていません。そのためWTTスターコンテンダーには中国のトップ選手が揃うことが多いです。
そしてスターコンテンダー、コンテンダーに適用されているPDRによって、WR20位以内の選手が自由に出場できない状況は「不公平」感が強いです。2023年は7月までPDRが一時停止されたのは当然でしょう。
なお、世界卓球選手権大会はITTFの、アジア競技大会はATTUの主催です。
WTTシリーズの詳細
WTTグランドスマッシュ
- オリンピック、世界卓球選手権大会(個人戦)と同列のWTTシリーズ最上位大会です。
- 年間最大4大会開催可能です。2024年から年4回開催されるようになりました。
- 本戦10日、予選2~3日のゆったりした日程。
- シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
- シングルスの本戦は64名、うち8名は予選64名を通過した選手。予選のワイルドカード枠は6名。
- ダブルス24ペア、混合ダブルス24ペア(共に予選なし)。
- シングルスは本戦、予選合わせて各協会から6名までしか出場できません。また世界ランク上位者から優先出場となっています。
- 世界ランク20位以内の選手参加規制はありません。
- ワイルドカード枠4名、WTT推薦枠2名。
- 出場資格を持つ選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
- シングルスのシード数は16。(2022年までは8。)
- シングルスの準々決勝、準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
- 優勝選手には2,000ポイントが付与されます。WTTチャンピオンが1,000ポイント、WTTスターコンテンダーが600ポイントですからダントツの高さです。
早田ひな選手が出場したグランドスマッシュ大会一覧です。
WTTファイナルズ
2022年まではWTTカップファイナルズという名称でした。
- シニア向けWTTシリーズの上から2番目の大会です。
- 年間最大1大会のみ開催可能です。
- シングルスと混合ダブルスを実施。出場人数はシングルス16名、混合ダブルス7ペア+ワイルドカード1ペア。(世界ランク上位者のみが招待される特別な大会。)
- 出場選手は後述するWTTファイナルズ専用ランキングにより決定されます。
- 各協会からの出場人数に上限なし。
- シングルスのワイルドカード枠、WTT推薦枠なし。
- シングルスのシード数は4。
- 混合ダブルスは4チームずつの2グループでリーグ戦を行い、上位2チームが準決勝から始まるトーナメント戦に進出します。
- 招待された選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
- シングルスの準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他は5ゲームマッチ。
- 試合はテーブル1台のみで進行されます。
- 優勝選手、ペアには1,500ポイントが付与されます。
完全招待制で世界のトップ選手だけが出場できる、強い選手ばかりだけど16名しかいないのにWRポイントが高い、TOPランカーを優遇しているという印象です。
早田ひな選手が出場した(カップ)ファイナルズ大会一覧です。
WTTファイナルズ専用ランキング
2025年より、出場選手の指定には世界ランキングではなくて、WTTが定めるWTTファイナルズ専用ランキングが使われます。
シングルスのランキングは次の大会で獲得したWRポイントの合計で決まります。
- グランドスマッシュ4大会。
- WTTチャンピオンズのうちポイントの高い4大会。
- WTTスターコンテンダー、WTTコンテンダーのうちポイントの高い6大会。
- グランドスマッシュまたはWTTチャンピオンズの大会数が不足している場合、不足分をコンテンダーシリーズで代用。
これはTOPランカー(グランドスマッシュとチャンピオンズだけでWRポイントを十分稼げる選手)がコンテンダーシリーズへの出場を避けることを防ぐ目的で設けられたルールに見えます。不健全だと思います。
混合ダブルスのランキングは次の大会で獲得したWRポイントの合計で決まります。
- グランドスマッシュ4大会。
- WTTスターコンテンダー、WTTコンテンダーのうちポイントの高い6大会。
WTTチャンピオンズ
- シニア向けWTTシリーズの上から3番目の大会です。
- 男女それぞれ年間最大6大会開催可能です。(2024年までは4大会)
- 本戦6日、予選はありません。
- シングルスのみ実施。出場人数は30名+ワイルドカード1名+WTT推薦1名の合計32名。
- 各協会から4名までしか出場できません。
- 世界ランクによる出場制限はありません。
- ワイルドカード枠1名、WTT推薦枠1名。
- シード数は8。
- 出場資格を持つ選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
- 準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他は5ゲームマッチ。
- 試合はテーブル1台のみで進行されます。
- 優勝選手には1,000ポイントが付与されます。
早田ひな選手が出場したチャンピオンズ大会一覧です。
WTTスターコンテンダー
- シニア向けWTTシリーズの下から2番目の大会です。
- 年間最大6大会開催可能です。
- 本戦5日、予選2~3日の日程で選手によっては1日に4試合に出場します。
- シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
- シングルスの本戦は48名、うち8名は予選を通過した選手。
- 予選人数は32、48、64名から開催国が選択します。
- ダブルス、混合ダブルス本戦16ペア、うち4ペアは予選を通過したペア。
- シングルスは各協会から本戦4名、予選6名までしか出場できません。(世界ランク20位以内の選手を除きます。)また世界ランク21位以降の上位者から優先出場となっています。
- 世界ランク20位以内の選手は、全体で8名しか出場できません。ホスト国はその8名を選ぶ裁量権を持ちます。(2024年までは6名)
- ワイルドカード枠4名、WTT推薦枠2名は上記制限の対象外。予選のワイルドカード枠は8名。
- シングルスのシード数は16。
- 前6週以内にグランドスマッシュまたはチャンピオンズに出場した選手は優先度が下がります。
- シングルスの決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
- 優勝選手には600ポイントが付与されます。
早田ひな選手が出場したスターコンテンダー大会一覧です。
WTTコンテンダー
- シニア向けWTTシリーズの最下位大会です。(WTTフィーダーシリーズはWTTシリーズではありません。)
- 年間最大14大会開催可能です。
- 本戦4日、予選2~3日の日程で選手によっては1日に4試合に出場します。
- シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
- シングルスの本戦は32名、うち8名は予選を通過した選手。
- 予選人数は48、64、96名から開催国が選択します。
- ダブルス、混合ダブルス本戦16ペア、うち4ペアは予選を通過したペア。
- シングルスは各協会から本戦4名、予選は4名または8名までしか出場できません。(世界ランク20位以内の選手を除きます。)また世界ランク21位以降の上位者から優先出場となっています。
- 世界ランク20位以内の選手は、全体で4名しか出場できません。ホスト国はその4名を選ぶ裁量権を持ちます。(2024年までは3名)
- ワイルドカード枠3名、WTT推薦枠1名は上記制限の対象外。予選のワイルドカード枠は8名。
- シングルスのシード数は8。
- 前6週以内にグランドスマッシュまたはチャンピオンズに出場した選手は優先度が下がります。
- シングルスの決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
- 優勝選手には400ポイントが付与されます。
早田ひな選手が出場したコンテンダー大会一覧です。
WTTフィーダーシリーズ
2022年1月から、WTTシリーズの下位のシニア向け大会としてWTTフィーダーシリーズが追加されています。
- WTTシリーズではなかなか世界ランクを上げられない選手に、WRポイントの獲得機会を与える目的で創設された(と思われる)のが、WTTフィーダーシリーズです。
- 年間の大会開催数に上限はありません。
- 本戦3~4日、予選最大3日の日程で選手によっては1日に4試合に出場します。
- シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
- シングルスの本戦は32、48、64名のいずれか。うち8名は予選を通過した選手。
- 予選人数は16~128名で開催国が決定します。
- ダブルス、混合ダブルス本戦16ペア、うち4ペアは予選を通過したペア。
- シングルスは各協会から8名までしか出場できません。ただしホスト国の協会から出場する選手数は制限されていません。
- 世界ランク30位以内の選手は出場できません。ただし、ホスト国の協会からは最大2名まで、世界ランク30位以内でも出場可能です。
- 世界ランク31位から50位までの選手は全体で6名までしか出場できません。ホスト国の協会から出場する選手が優先されます。
- ワイルドカード枠4名、WTT推薦枠2名、WTTユース推薦枠2名は上記制限の対象外。
- すべて5ゲームマッチ。(2022年のシングルスのメインドローはすべて7ゲームマッチでした。)
- 優勝選手には125ポイントが付与されます。
WR31位以降の選手で、少しでも世界ランクを上げたい、WTTコンテンダーに出場できるようになりたい場合には、WTTフィーダーシリーズに積極的に参戦するのが良いと思われます。優勝しても125ポイントしか付与されませんが、ざっくり1年以内に4回程度優勝できるようになれば、WR30位以内に入ってフィーダーシリーズを卒業できるでしょう。
なお、早田ひな選手がフィーダーシリーズに出場したことはありません。
WRポイント
WTTシリーズを含む国際大会で付与されるWRポイント一覧です。
出典:ITTF TABLE TENNIS WORLD RANKING REGULATION
その道の専門家が議論を重ねて導入されたものだし、誰にとっても公平なシステムを設計するのはそもそも不可能なので、決めれたルール・制度の中でより上位を目指すしかありません。
WTTグランドスマッシュと世界卓球大会個人戦との違い
WTTグランドスマッシュはWTTシリーズ最上位大会で、優勝時のWRポイントが2,000と世界卓球大会個人戦と同じです。が、両者には大きな違いがあります。
伝統のある世界卓球に対し、グランドスマッシュは興行面を重視して制度設計したと思われます。
- 優勝時のWRポイントが2,000もある最上位大会を年間最大4回開催可能としている時点で、ITTFが管轄している世界卓球と違う方向性を志向しているのは明らかです。
- が、グランドスマッシュは2022年、2023年にシンガポールで1回開催されただけでした。(大会開催に1億円以上かかるのが要因との噂あり。)2024年は3回開催する予定とされています。
- グランドスマッシュはシード数が16しかないため、ドローゲーム(ドロー運が占める要素が非常に強い)になっています。世界卓球は32あるので、相対的にひどいドローになりにくい印象です。
- WTTが意図的にアップセット(波乱、下剋上)を増やすため、グランドスマッシュの7ゲームマッチを準々決勝以降に制限しています。世界卓球は全試合7ゲームマッチです。僕はシングルスは全試合7ゲームマッチがいいと思っています。
- 世界卓球は初戦に限り同一協会からの選手が対戦しないようにドロー調整を行います。グランドスマッシュにはその配慮はありません。
WTTの厳しいところ
トップランカーほど有利
(中国のトップ選手を除いて)誰と対戦しても勝ち上がれる実力を備えていることが条件ですが、WRが高いトップランカーほどWRポイントを稼ぎやすい、有利な制度なのが実情です。
- グランドスマッシュは世界ランク上位から48名程度、各協会最大6名の自動エントリーです。日本人女子の場合、6名だとせいぜいWR30位台までです。
- チャンピオンズは世界ランク上位から30名、各協会最大4名の自動エントリーです。日本人女子の場合、4名だとせいぜいWR10位台までです。
- ファイナルズは(ざっくり)世界トップ16名だけが出場できる、ボーナスステージのような大会です。
WTTシリーズ上位3大会はWRポイントが高いので、これらに出場できないと競争上不利です。
WR20位以内の出場制限(PDR)
コンテンダーとスターコンテンダーには、PDR(Play Down Restriction)と呼ばれる、WR20位以内の選手の出場制限があります。コンテンダーとスターコンテンダーはWR21位以下の選手を優先出場させる大会なのですが、WR20位以内の選手もコンテンダーは4名まで、スターコンテンダーは8名まで出場可能です。
2022年まではWR上位から3名/6名だったので、中国のトップ選手が出場しなかったコンテンダー、スターコンテンダーではランキング上位の選手が優勝しやすかった(ポイントを稼ぎやすかった)です。このこと自体は2023年以降も変わらないのですが、WR20位以内の選手のエントリーはホスト国に裁量権があるため、ランキング上位でエントリーしても拒否される可能性があります。
協会単位の出場制限(NER)
NERと呼ばれる、各国の協会から出場できる人数制限が設けられた大会もあります。
- ファイナルズ以外はNERがあります。ファイナルズは(ざっくり)世界のトップ16名だけでWCもWTT推薦枠もない特別な大会ですね。
- WTTシリーズ最上位大会のグランドスマッシュのNERは6ですが、PDRはありません。
- チャンピオンズはNERが4と厳しいです。PDRがないため、各協会内の上位4名しか出場できません。
- スターコンテンダー、コンテンダーにはPDRがありますが、PDR対象のWR20位以内とWC、WTT推薦枠はNERの対象外です。
事実上、世界トップを目指すなら日本人選手上位4名をキープできないと、競争の土俵にすら上がれません。
シード数が少なくドローゲームになっている
これはWTTシリーズの大会別シード数一覧です。
シード数が極端に少ないため、シード外だといきなり中国トップ選手と当たることも普通にあります。WTTシリーズはドロー運の要素が強いというのは共通認識です。
WTTになって良かったこと
WTTはフィーダー大会含めてYouTubeチャンネルで積極的に試合の動画中継(リアルタイム配信)をしています。WTTの目的が卓球の商業化の促進なので当然そうするよねっていう話でもあるわけですが、これにより既存のファンは圧倒的な数の試合を自宅にいながら観戦できますし、新たにファンを増やす起爆剤になると思います。
僕は2021年から早田ひな選手が出場した国際大会、国内大会は全てネットで観戦していますが、ATTU/ITTFが主催した第25回アジア競技大会の中継試合数の少なさには泣きました。次回からは主催がどうであれWTTに運営して欲しいと思いました。
世界卓球2021ヒューストン大会を主催したのはITTFですが、試合情報のサイトでの公開、ネット中継などは全面的にWTTの運営でした。それでいいです。
なお、お気に入りの日本人女子の試合だけストリーミングされなかった(すっ飛ばされた)とか、スコア表示がなくて主審の声だけが頼りだったとか、スコアが10点以降は勝敗が決まるまで更新されないとか、中継に問題があるのも事実です。こういうことは適宜改善して行って欲しいです。
最悪だった2023年アジア選手権大会のネット配信
韓国で開催された2023年アジア選手権大会ですが、ネット配信が最悪でした。
- ATTUのYouTubeチャンネルがT1からT4をリアルタイム配信しました。が、T1の試合でTV中継されるものは全世界でネット配信されないという、WTTの運営ではありえないものでした。さらにある日のT1の試合はTV中継されないものまでネット配信されないという極めて残念な対応でした。このATTUの対応に、ネット民から不満が噴出しました。
- T1の試合でネット配信されないものはアーカイブも残っていません。
ざっくり準々決勝以降はT1での試合がTV中継対象になるため、そして準決勝以降はT1のみとなるため、レベルの高い試合ほどネット配信されない、アーカイブも残らないという最低な運営でした。WTTの運営に文句を言っていた人も、ネット配信に関してはWTTを見直したはずです。
最悪だった2024年アジア選手権大会のネット配信
カザフスタンで開催された2024年アジア選手権大会ですが、ネット配信が最悪でした。
- ATTUのYouTubeチャンネルがT1からT10をリアルタイム配信しました。
- ところが対戦相手が中国または台湾の試合は、中国国内の配信サービスを除き、全世界で配信されませんでした。ひどすぎます。
全テーブルが配信対象だったので、ラウンドの早い試合(シングルスのR64やダブルスのR32)も視聴できたのは良かったのですが、対戦相手が中国または台湾の試合は中国国内でしか視聴できないという残念極まりないものでした。WTTの配信のまともさを見直した人も多かったことでしょう。
そしてYouTubeで違法に動画配信(中国国内の動画配信サービスからの横流し)するチャンネルがあり、違法と知りながらもそれに頼るしかありませんでした。Xを見る限り多くの人は違法と気付かなかったようです。そんな状況を生み出しているATTU、大嫌いです。
また上記違法チャンネルは一部の試合しか横流し配信しておらず、視聴手段がない試合も多数発生しました。
まとめ
印象としては、WR8位以内をキープできる実力を維持し続けて(競争なので継続的な強化を怠らないで)、実際に大会で結果を残せる選手にとっては、WRポイントを稼ぎやすいシステムに見えます。9位以下に落ちるとコンテンダー、チャンピオンズでシード外になることが増え、ドロー運が悪いと厳しい戦いを強いられます。17位以下になるとスターコンテンダー、グランドスマッシュでもシード外になり、WTTシリーズがドローゲームになっていることを痛感させられます。
最大の問題は、出場の意思と資金があるのに、WRが20位以内という理由で出場できない大会があることです。僕はPDRは廃止すべきだと思っています。
また、WTTは意図的にシード数を少なく、7ゲームマッチ対象試合を限定することで、波乱(アップセット、予想外の結果)が起きやすくすることで、よりエンターテイメント性が高めていると思われます。そうしたい理由も分かりますが、選手ファーストではないですよね。僕は7ゲームマッチを増やして欲しいのですが、現在の仕様でも常時ベスト4を占める中国四天王の実力の高さには驚くばかりです。