2021年12月にWTTカップファイナルズが初開催されました。完全招待制で男女それぞれ16名しか出場できない特別な大会です。
早田ひな選手は準決勝で孫穎莎選手に敗れたものの、収穫の多い素晴らしい大会になりました。
*アイキャッチ画像はWTT公式サイトからの引用です。
大会の仕様
- シニア向けWTTシリーズの上から2番目の大会です。
- 男女それぞれ年間最大1大会のみ開催可能です。
- 本戦5日、予選はありません。
- シングルスとダブルスを実施。出場人数は16名の完全招待制。(世界ランク上位者のみが招待される特別な大会。)
- 各協会からの出場人数に上限なし。
- 招待された選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
- 準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他は5ゲームマッチ。
- 試合はテーブル1台のみで進行されます。
- 優勝選手には1,500ポイントが付与されます。
完全招待制で世界のトップ選手だけが出場できる、強い選手ばかりだけど16名しかいないのにWRポイントが高い、TOPランカーを優遇している高いという印象です。
大会情報
- 期間:2021年12月4日から7日
- 場所:シンガポール(日本との時差1時間、現地10:00が日本の11:00)
- 出場種目:シングルスのみ(ダブルスは試合そのものが設定されませんでした)
- 参照:WTT公式サイト
世界卓球2021ヒューストン大会から移動日含めて4日しか空いていない、特に世界卓球で3種目を決勝近くまで戦った選手にとっては体力的に厳しい日程でした。
ネット中継
試合はT1のみ(放送用の超豪華なテーブル1台だけ)で行われました。
- WTTがYoutubeチャンネルで全試合をリアルタイム配信しました。
- テレビ東京卓球チャンネルは全試合をリアルタイム配信しました。
- リアルタイム視聴できなくても、おおむね24時間以内にはテレビ東京卓球チャンネルにアップされました。ありがたいです。
出場選手
出場選手のWRに抜けがあるのは、理由は不明ながら出場を辞退した(招待を断った)のだと思われます。たとえば伊藤美誠選手は当時世界ランク3位で招待されたはずですが、出場していません。
早田ひな選手はWR17位でした。
4人しかシードされないので、もったいない、残念なドローになりやすい印象です。
結果:ベスト4
早田ひな選手は準々決勝で王曼昱選手に当たる普通に厳しいドローでしたが、おそらく疲労によるものでしょう、王曼昱選手はR16で杜凱琹選手にストレート負けを喫し、結果的に早田ひな選手は準決勝まで中国人選手と当たりませんでした。
準決勝では宿敵で対戦が多い孫穎莎選手に負けて、ベスト4でした。獲得したWRポイントは525でした。
Round 16(1回戦)
台湾の鄭怡静(チェン・イーチン)選手との対戦でした。
鄭怡静選手、強かったです。ちょっと運が足りなかったら負けていました。
- 第1ゲーム、8-6まで競った展開になりますが、そこから3連続得点し11-6で取ります。
- 第2ゲーム、カップファイナルズらしい質の高いプレーが続きます。8-8まで点差が開きませんでしたが、そこから8-10と先にゲームポイントを握られます。落ち着いたプレーでデュースに持ち込みますが、11-13で落としてしまいます。
- 第3ゲーム、ラリー戦に負ける回数が増えて3-10と大量リードでゲームポイントを握られます。卓球とは怖い競技で、ここから流れが変わり7連続得点で10-10のデュースになります。11-12をサービスエースでしのぎ、最後ラリー2本をものにして14-12で取ります。実況のアダムが良く言います。Anything is possible.
- 第4ゲーム、接戦で4-4まで競りますが、そこから早田選手のミスが増えて4-9と大量リードを許します。ここから精度の高いプレーで5連続ポイントして9-9にします。9-10と先にゲームポイントを握られますが、強気のプレーでデュースに持ち込みます。最後は12-12からサービスエース、レシーブエースを決めて勝ち切り、負けられない初戦をものにしました。
凄い試合でした。勝てて良かったです。
フル動画。
ダイジェスト。
ハイライト。
この試合のスーパープレー。
準々決勝
香港の杜凱琹(トガイキン)選手との対戦でした。杜凱琹選手は初戦で王曼昱選手をストレートで倒しました。
- 第1ゲーム、流れをつかんで離さず、11-1で取ります。
- 第2ゲーム、ラリー戦を優位に進めて11-5でこのゲームも取ります。
- 第3ゲーム、杜凱琹選手の攻め方が良くなり、逆に早田選手はミスが増え、6-11で落とします。
- 第4ゲーム、質の高いプレーの応酬が続き接戦になりますが、勝負どころでサービスエース2本を決めて9-5とリードを広げます。10-6でゲームポイントを握り、杜凱琹選手の追い上げを振り切って11-8でこの試合をものにしました。
素晴らしいプレーが多く、見ごたえのある試合でした。
フル動画。
ダイジェスト。
この試合のスーパープレー。
勝利インタビュー。
試合後インタビュー。第3ゲームを落とした理由に触れています。
準決勝
孫穎莎選手との対戦でした。準決勝なので7ゲームマッチです。
あと一歩が遠いのは、相応の実力差があるためですね。
- 第1ゲーム、早田選手は1球ずつ攻め方を工夫しているのに対し、孫穎莎選手はややミスが目立ち、9-4と大量リードします。運も味方にして11-6で幸先良く取ります。
- 第2ゲーム、質の高いプレーの応酬が続きますが、早田選手にミスが増えて3-7と大量リードされます。6-10とゲームポイントを握られますが、ラリー戦2本に勝ち、早田選手がめったに出さないトマホークサーブのエースで9-10と追い上げたものの、一歩及ばず9-11で落とします。
- 第3ゲーム、準決勝らしい素晴らしいプレーの応酬で4-4まで競りますが、そこから孫穎莎選手が抜け出して4-8とリードします。最後はラリー力に優る孫穎莎が6-11でこのゲームも取ります。
- 第4ゲーム、どちらもラリー戦以外の選択肢も増やしますが、孫穎莎選手が2点ほどのリードを守る展開になります。9-10まで粘りますが、またしても一歩及ばず9-11で落としてしまいます。ゲームカウント1-3と後がなくなります。
- 第5ゲーム、両者一歩も引かず接戦で7-7まで競ります。8-9まで粘りますが、孫穎莎選手ら中国のTOP選手は9点以降に極端に強くなる傾向があり、最後はラリー戦で打ち負けて8-11で敗戦となりました。
試合に勝利した後の孫穎莎選手の礼儀正しさに、こんなに強くて素晴らしいライバルが同世代にいることを感謝せずにはいられません。
フル動画。
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ハイライト。
この試合のスーパープレー。
まとめ
- 準決勝で孫穎莎選手に負けてベスト4でしたが、WTTシリーズで2番目の上位大会なので525ポイントを獲得しました。これは2022年の戦いを有利に進める上で大いに役立ちました。
- 孫穎莎選手との実力差は大きいわけですが、足りないものに加えて通用する技術が多くあることも認識できた、素晴らしい大会になりました。
- 来年もカップファイナルズに招待され、世界のトップ選手を倒して決勝に進みたいものです。
大会終了後
早田ひな選手のツイートです。
昨日、無事に帰国しました🇯🇵✨
世界選手権、カップファイルでは連日沢山の応援有難うございました!
支えてくれたスタッフの皆さんのお陰で最後まで良いコンディションで戦う事が出来ました。そしてペアを組んでもらった伊藤選手と張本選手には感謝の気持ちでいっぱいです。有難うございました😌💛 pic.twitter.com/GEdhJvgyaV— 早田ひな (@hayata_hina) December 9, 2021