2025年はグランドスマッシュが4大会、チャンピオンズが6大会開催されることから、中国のトップ選手はコンテンダーシリーズを回避する傾向が目立ちます。中国四天王は今大会も不出場でした。
早田ひな選手は5月以降WRポイントの失効が続いており、8月5日にはパリオリンピックで獲得した700ポイントが失効します。日本人上位4位内をキープするため、それまでにポイントを補充しておきたいところでした。ところがシングルス初戦で不可解なプレー内容で逆転負けを喫し、R32敗退という残念な結果で終わりました。
また4年ぶりに再結成したとがひなペアは早田ひな選手が不調でベスト8でした。
*アイキャッチ画像はテレビ東京卓球情報のXポストからの引用です。
大会の仕様
- シニア向けWTTシリーズの最下位大会です。(WTTフィーダーシリーズはWTTシリーズではありません。)
- 年間最大14大会開催可能です。
- 本戦3~4日、予選3日以内の日程で選手によっては1日に4試合に出場します。
- シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
- シングルスの本戦は32名、うち8名は予選を通過した選手。
- 予選人数は48、64、96名から開催国が選択します。
- ダブルス、混合ダブルス本戦16ペア、うち4ペアは予選を通過したペア。
- シングルスは各協会から本戦4名、予選は4名または8名までしか出場できません。(世界ランク20位以内の選手を除きます。)また世界ランク21位以降の上位者から優先出場となっています。
- 世界ランク20位以内の選手は、全体で4名しか出場できません。ホスト国はその4名を選ぶ裁量権を持ちます。(2024年までは3名)
- ワイルドカード枠3名、WTT推薦枠1名は上記制限の対象外。予選のワイルドカード枠は8名。
- シングルスのシード数は8。
- 前6週以内にグランドスマッシュまたはチャンピオンズに出場した選手は優先度が下がります。
- シングルスの決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
- 優勝選手には400ポイントが付与されます。
WTTコンテンダーザグレブ2025
- 期間:2025年6月24日から29日
- 場所:クロアチアのザグレブ(日本との時差7時間、現地10:00が日本の17:00)
- 出場種目:シングルス、混合ダブルス
- 参照:WTT公式サイト、日本卓球協会の公式サイト
ネット中継
- WTTがYoutubeチャンネルでT1からT6をリアルタイム配信しました。
- テレビ東京卓球チャンネルは本戦2日目(金曜日)の途中からT1とT2をリアルタイム配信しました。土曜日からの予定だったのを急遽繰り上げました。
- 全く理解できないことですが、本戦初日(木曜日)はT1とT4に視聴制限がかかりました。状況的に「誤ってそうなった」わけではないようです。こうなるとテレビ東京がしていることは邪魔でしかないです。金曜日は全テーブルに視聴制限がかかり、テレビ東京卓球チャンネルがT1とT2の配信を開始するまで全く視聴できない状態でした。
このテレビ東京による対応が変わらない限り、VPNで視聴制限を突破するしかないです。
シングルス出場選手
本戦から出場する24名の顔ぶれです。中国四天王+蒯曼選手は出場しませんでした。
早田ひな選手はWR9位で第3シードでした。
日本人選手で出場したのは張本美和選手、大藤沙月選手、早田ひな選手、長﨑美柚選手、木原美悠選手、横井咲桜選手、佐藤瞳選手、赤江夏星選手、麻生麗名選手です。
シングルス:ベスト32
順当ならR16で木原美悠選手と対戦する厳しいドローでした。WTTスターコンテンダーリュブリャナ2025で完敗していたので、そのリベンジを果たしたいところでしたが、その前のR32で徐奕選手に逆転負けを喫してしまい、ベスト32でした。
問題はそのプレー内容でした。おそらく体調不良の類だったと思われます。
Round 32(1回戦)
中国の徐奕選手(20歳)との対戦でした。初対戦です。予選ラウンドで麻生麗名選手を倒して勝ち上がってきました。
左腕の状態が悪いのではないかと思うようなプレー内容でした。心配です。
- 第1ゲーム、早田選手がリードを保つ展開になりますが、真っ向勝負だと分が悪い印象です。前週のリュブリャナからの改善ができていません。11-7でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、ここからフォアハンドでの緩いブロックが目立つようになります。そしてフォアハンドの強打にミスが目立ちます。それでも11-7でこのゲームも取ります。
- 第3ゲーム、謎の緩いブロックが増え、甘いボールを強打されて失点を続けます。リュブリャナで木原美悠選手に徹底して攻められて対応できなかったフォアサイド、全く改善されていません。脚が動けていません。9-11でこのゲームを落とします。
- 第4ゲーム、フォアハンドの緩いブロック+強打がオーバーするパターンが治りません。フォアサイドが穴になっています。9-11でこのゲームも落としてしまいます。
- 最終第5ゲーム、フォアハンドがことごとくオーバーする、まだ緩いブロックを多用する、脚がまったく動かない、こんなに状態の悪い早田選手は珍しいです。体調不良でなければ(負けるとしても)試合の後半で修正して対応してくるものですが、今日はそれが見られません。完全に流れを渡してしまい、4-11で敗戦となりました。
最後まで効果的ではない緩いブロックを多用した理由を知りたいです。また終始左腕を気にする仕草をしていたのが気になりました。でも翌日の混合ダブルス準々決勝に元気に出場していたので、怪我が再発したわけではありませんでした。おそらく体調不良の類だったと思われます。
フル動画。
混合ダブルス:ベスト8
とがひなペアが再結成しました。2021年に結成して2大会連続で優勝するという快挙を達成してから4年、ロサンゼルスオリンピックに向けて、混合ダブルスを組むなら戸上隼輔選手しかいないと思っていたので期待度MAXです。
とがひなペアはWCで予選からの出場でした。次は予選から出場するペアの顔ぶれです。
次は本戦から出場するペアの顔ぶれです。
R16を突破したところまでは良かったのですが、早田ひな選手の状態が悪く準々決勝敗退で結果ベスト8でした。
予選ラウンド1(1回戦)
オランダのジャンベ・ヴィール/シュオハン・メンペアとの対戦でした。
第2ゲームを接戦で落としたものの、しっかり勝ちました。
- 第1ゲーム、とがひなペアにとって不利なローテーション、流れをつかんで6-0と大量リードします。そのまま11-3でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、相手ペアのミスにも助けられ8-4とリードしますが、そこから失速して9-10と先にゲームポイントを握られます。デュースに持ち込みましたが決めきれず11-13でこのゲームを落としてしまいます。この試合、早田選手はチキータレシーブをためらわないですね。
- 第3ゲーム、とがひなペアの動きが良くなりリードを広げる展開が続きます。11-6でこのゲームを取り返します。
- 第4ゲーム、ミスが減ってラリーが続くようになり、さらに動きも良くなってリードを広げます。得点時のガッツポーズと声がシンクロします。危なげなく11-2で勝ち切り、再結成後の初戦を勝利で飾りました。
練習できたのはせいぜい2日(のうちの数時間)だったでしょうから、ほぼぶっつけ本番で臨んだと思われます。序盤は硬さが見られましたが、第3ゲーム以降は動きが良くなり、二人の実力の高さが良く分かりました。
また実に楽しそうにプレーしているのが印象的でした。
フル動画。
Round 16(1回戦)
長﨑美柚選手と韓国の呉晙誠選手の国際ペアとの対戦でした。
とがひなペアは仕上がりが良く、快勝でした。
- 第1ゲーム、とがひなペアにとって不利なローテーション、接戦で5-5まで競りますが、そこからリードを保つ展開が続きます。10-6と大量リードでゲームポイントを握りますが、10-9と追い上げられます。デュースにしたくないところ、戸上選手がチキータレシーブを決めて11-9でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、流れをつかんで8-2と大量リードします。相手ペアの追い上げを振り切って11-7でこのゲームも取ります。
- 第3ゲーム、戸上選手のキレが良く、リードを広げる展開が続きます。危なげなく11-5でこのゲームも取って、ストレート勝利を収めました。
二人共状態が良かったので、この後に行われたシングルスR32で早田ひな選手があのようなプレーをするとは想像できませんでした。
フル動画。
準々決勝
中国の黄友政/陳熠ペアとの対戦でした。
惜しくも負けてしまいましたが、早田ひな選手の状態が良くなかったのでしょうがないです。
- 第1ゲーム、とがひなペアにとって有利なローテーション、ミスが多く相手ペアにリードを許す展開が続きます。3-9と大量リードされたところから追い上げますが、7-11でこのゲームを落とします。
- 第2ゲーム、とがひなペアがリードを保つ展開が続き10-7でゲームポイントを握りますが、決めきれずデュースに持ち込まれます。早田選手は本調子に程遠いです。ラッキーなネットインもあって12-10でこのゲームを取り返します。
- 第3ゲーム、戸上選手のキレが良く流れをつかんで11-3でこのゲームを取ります。
- 第4ゲーム、接戦で7-8まで競りますが、ミスが多く7-11でこのゲームを落とします。
- 最終第5ゲーム、相手ペアにリードされる苦しい展開が続きます。終盤追い上げたものの一歩及ばず9-11で敗戦となりました。
早田ひな選手のフォアハンド入らない病は深刻です。今日の状態だとこの結果は当然でしょう。次回はもっと良い状態で戦ってくれるはずです。
フル動画。
まとめ
- おそらく体調不良の類だと思われますが、早田ひな選手の状態が悪くシングルスはR32敗退でした。
- 今大会、フォアハンドの緩いブロックを多用していましたが、強打できそうなボールまでそうしていた理由は謎です。
- 戸上隼輔選手と組む「とがひなペア」を再結成できて良かったです。早田ひな選手の状態が悪く準々決勝敗退となりましたが、このペアには期待しています。
- フォアハンド入らない病は深刻です。次の大会(USスマッシュ)までには元気になって世界卓球の頃の強さを見せて欲しいです。
おまけ
とがひなペアの新ルーチン
とがひなペア、はりひなペアで過去一度もやったことのない、新ルーチンが始まりました。ゲーム開始前、タイムアウト明けに手をパチンと合わせます。このルーチン、大好きです。勝っている時も負けている時も続けて下さい。
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