2023年になってもWTTの大会スケジュールが公開されるタイミングは遅く、開催前月である3月に、4月にシンシャンとマカオ(実質ともに中国)でWTTチャンピオンズが連続開催されることが発表されました。
WTTチャンピオンズは世界ランクの上位30名を対象にした大会です。
準々決勝で陳夢選手をあと一歩のところまで追い詰めましたが、フルゲーム・デュースの末に負けてしまい、ベスト8でした。
*アイキャッチ画像はテレビ東京卓球情報のツイートからの引用です。
WTTチャンピオンズ
- シニア向けWTTシリーズの上から3番目の大会です。
- 男女それぞれ年間最大4大会開催可能です。
- 本戦6日、予選はありません。
- シングルスのみ実施。出場人数は30名+ワイルドカード1名+WTT推薦1名の合計32名。
- 各協会から4名までしか出場できません。
- 世界ランクによる出場制限はありません。
- 出場資格を持つ選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。
- 準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他は5ゲームマッチ。
- 試合はテーブル1台のみで進行されます。
- 優勝選手には1,000ポイントが付与されます。
WTTチャンピオンズシンシャン
WTTチャンピオンズ新郷とも表記されますが、この記事ではシンシャンとしています。
- 期間:2023年4月9日から15日
- 場所:中国のシンシャン(新郷)(日本との時差1時間、現地10:00が日本の11:00)
- 出場種目:シングルス
- 参照:WTT公式サイト
- パリ五輪選考ポイント付与対象ではありませんが、打倒中国ポイント付与対象です。
ネット中継
試合はT1のみ(放送用の超豪華なテーブル1台だけ)で行われました。
- WTTがYoutubeチャンネルで全試合をリアルタイム配信しました。
- テレビ東京卓球チャンネルは全試合をリアルタイム配信しました。
- リアルタイム視聴できなくても、おおむね24時間以内にはテレビ東京卓球チャンネルにアップされました。ありがたいです。
出場選手
中国の四天王に加えてWR7位の陳幸同選手がワイルドカードでエントリーしました。
早田ひな選手はWR9位で第7シードでした。
中国人選手は5名出場しました。日本人選手は伊藤美誠選手、早田ひな選手、石川佳純選手、木原美悠選手の4名が出場しました。平野美宇選手はエントリー時の世界ランクが日本人選手5人目だったため出場できませんでした。
結果:ベスト8
早田ひな選手は準々決勝で石川佳純選手か陳夢選手に当たるドローでした。
ベスト4に進むのが最低目標だったと思いますが、準々決勝で惜しくも陳夢選手に負けてしまい、ベスト8でした。付与されたWRポイントは175でした。
Round 32(1回戦)
ポーランドのユ・フ選手との対戦でした。2019年にヨーロッパ競技大会で優勝しているペンフォルダーで、WTTコンテンダーアルマトイ2022で対戦しています。
早田ひな選手は仕上がりが良く、快勝でした。
- 第1ゲーム、ユ・フ選手の癖玉を苦にすることなくレシーブし、ほぼ完璧な試合運びで11-5で圧倒します。サービスのコントロール、両ハンドの精度が高く、調整がうまくできている時の早田選手です。
- 第2ゲーム、接戦になり5-4まで競りますが、そこから抜け出して11-5でこのゲームも取ります。サーブからの攻撃の組み立て、反応速度、フットワークも良く申し分ありません。
- 第3ゲーム、精度の高いプレーでリードを拡げ、このゲームも11-5で勝ち切り、難しい初戦をものにしました。
早田選手、好調です。左脚ふともものテーピングが気になりましたが、動きは良かったです。
フル動画。
ハイライト。
試合後のインタビュー。
みんスポからの公式動画。
試合前の練習の様子。
試合結果を伝える記事。
試合後コメント「コンディションも良かったので勝利することができて、とてもうれしいです」。
この試合のスーパープレー。
Round 16(2回戦)
ドイツのミッテルハム選手との対戦でした。世界卓球2022成都大会の準決勝以来の対戦となりました。
早田ひな選手の快勝でした。
- 第1ゲーム、流れをつかんで7-2と大量リードしたものの、7-5と追い上げられます。そこから精度の高いプレーで引き離し、11-6でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、安定したプレーでリードを拡げ、7-1と大量リードします。その流れを渡すことなく11-3でこのゲームも取ります。
- 第3ゲーム、攻撃力が高くミスの少ない早田選手がリードを保つ展開になり、11-6で勝ち切ってこの試合をものにしました。
早田選手はプレーの精度が高く、仕上がりの良さを感じました。
フル動画。
ハイライト。
みんスポからの公式動画。
ベスト8進出を伝える記事。
この試合のスーパープレー。
準々決勝
中国の陳夢選手との対戦でした。WTTチャンピオンズESS2022の準々決勝以来の対戦となりました。
あと一歩のところまで迫りましたが、勝てませんでした。間違いなく世界最高水準の試合でした。
- 第1ゲーム、点差の開かない接戦となり9-9まで競ります。そこからサービスエースで10-9とし、激しい打ち合いを制して11-9でこのゲームを取ります。両者共にプレーの精度が高いです。
- 第2ゲーム、息の詰まるような接戦が展開される中、10-8と先にゲームポイントを握ったものの、デュースに持ち込まれてしまいます。陳夢選手の攻撃力が勝り、12-14で落とします。
- 第3ゲーム、両者一歩も譲らず9-9まで競ります。そこから第1ゲームと同じ展開でサービスエースと打ち合いを制して11-9でこのゲームを取り返します。
- 第4ゲーム、5-6までは粘ったものの陳夢選手がリードする展開になり、6-11で落としてしまいます。ゲームカウント2-2になり勝負は最終第5ゲームへ。
- 最終第5ゲーム、激しい打ち合いの応酬が続く中9-9まで競ります。先に陳夢選手にマッチポイントを握られますが、デュースに持ち込み11-10とマッチポイントを握り返したものの、一歩及ばず11-13で惜しくも敗れてしまいました。
惜しかったです。負けはしましたが、あの陳夢選手を相手にここまで互角の戦いができたことは大きな自信になったはずです。2021年以降の国際大会では間違いなく最強の早田ひな選手でした。
なお、2回戦まであった左脚ふともものテーピングはありませんでした。
フル動画。
ハイライト。
まさに紙一重!勝負を分けたスーパーラリー。
みんスポからの公式動画。
早田選手の惜敗を伝える記事。
準々決勝の結果を伝える記事。
この試合のスーパープレー。
試合後のインタビュー動画の要約。(中国で中継された動画のようですが、WTTのアーカイブにはありません。)
自分の中では人生の中で一番中国人選手といい試合ができたんですけど、最後勝ち切ることができなくてすごく悔しいです。
次、マカオの試合がありますが、まずはしっかり休養して、1回戦目からいい状態で入れるように、そしてまたこのレベルの中国人選手と当たって次こそ勝てるように頑張りたいと思います。
まとめ
準々決勝で陳夢選手をあと一歩のところまで追い詰めましたが、フルゲーム・デュースの末に負けてしまいました。それでも陳夢選手を相手に互角の戦いができたことは大きな自信になったはずですし、不調だったインド、シンガポールの大会から完全に復調したことは間違いないです。その点において、とても収穫の多い大会でした。
この好調さを維持できれば、高い目標をクリアできる日もそう遠くないはずです。
大会終了後
石田コーチのインスタグラムから。
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