WTTチャンピオンズは世界ランクの上位30名を対象にした招待制の大会ですが、2025年4月から年間2回まで招待を辞退できるようになりました。早速今大会で孫穎莎選手と王曼昱選手がその権利を行使しています。
そのため早田ひな選手が第3シード、張本美和選手は第4シードで大会に臨みましたが、チャンピオンズだけあってドローは共に厳しいものでした。
早田ひな選手はR16で強い朱雨玲選手に負けてしまいましたが、その試合内容は素晴らしいものでした。僕は早田ひな選手が早いラウンドで負けると泣きはらすのですが、今回は泣きませんでした。
*アイキャッチ画像はこちらの動画からの引用です。
WTTチャンピオンズ
- シニア向けWTTシリーズの上から3番目の大会です。
- 男女それぞれ年間最大6大会開催可能です。(2024年までは4大会)
- 本戦6日、予選はありません。
- シングルスのみ実施。出場人数は30名+ワイルドカード1名+WTT推薦1名の合計32名。
- 各協会から4名までしか出場できません。
- 世界ランクによる出場制限はありません。
- ワイルドカード枠1名、WTT推薦枠1名。
- シード数は8。
- 出場資格を持つ選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象となります。ただし、2025年4月以降、選手は年間2回まで個人的理由で出場を辞退できます。
- R32、R16は5ゲームマッチ、準々決勝以降は7ゲームマッチ。(2025年3月までは準決勝と決勝のみ7ゲームマッチ)
- 試合は1テーブルで進行されます。
- 優勝選手には1,000ポイントが付与されます。
大会情報
- 期間:4月1日から6日
- 場所:韓国の仁川(日本との時差なし、現地10:00が日本の10:00)
- 出場種目:シングルス
- 参照:WTT公式サイト、日本卓球協会公式サイト
ネット中継
試合はT1のみ(放送用の超豪華なテーブル1台だけ)で行われました。
- テレビ東京卓球チャンネルが全試合をリアルタイム配信しました。
- リアルタイム視聴できなくても、おおむね24時間以内にはテレビ東京卓球チャンネルにアップされました。ありがたいです。
シングルス出場選手
孫穎莎選手と王曼昱選手が辞退し、代わりに蒯曼選手と銭天一選手が出場しました。
早田ひな選手はWR5位で第3シードでした。
日本人選手は早田ひな選手、張本美和選手、大藤沙月選手、伊藤美誠選手の4名が出場しました。
シングルス:ベスト16
早田ひな選手は順当ならR16で朱雨玲選手と、準々決勝で大藤沙月選手と当たるドローでした。
出典:国際卓球連盟のXポスト
早田ひな選手はR16で朱雨玲選手にフルゲームの末に惜敗し、結果ベスト16でした。
Round 32(1回戦)
プエルトリコのアドリアーナ・ディアス選手との対戦でした。WTTコンテンダーマスカット2023以来の対戦になりました。
接戦を制して逃げ切りました。フルゲームになったら危なかったですね。
- 第1ゲーム、サーブが効き、レシーブからの展開も良く、流れをつかんで10-2と大量リードします。声も良く出ています。WTTに絶対イジられそうな失点シーンがありましたが、笑顔でした。11-5でこのゲームを取ります。
- 第2ゲーム、ディアス選手にバック側を攻められて失点が増えます。コース選択が厳しいです。点差が開かない展開が続き、10-9と先にゲームポイントを握りますが、デュースに持ち込まれます。ディアス選手のゲームポイントで不運なネットと厳しいラリーに耐えたものの、12-14でこのゲームを落としてしまいます。
- 第3ゲーム、ディアス選手のカウンター攻撃が決まるようになり、点差が開かない展開が続いて6-6まで競ります。8-7の勝負どころではこの試合で出していなかったチキータレシーブで得点します。11-7でこのゲームを取り返し、ゲームカウントを2-1にします。
- 第4ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続き、9-9まで競ります。最後サーブ3球目攻撃を早田選手らしいバックハンドと回り込みフォアハンドで決めて、11-9で逃げ切りました。フルゲームにならなくて良かったです。
接戦になってヒヤヒヤすることもありましたが、早田ひな選手の仕上がりは、初戦としては良かったと思います。良くなかったら負けていました。勝てて良かったです。これで、朱雨玲選手とR16を戦えます。
フル動画。
ハイライト。
試合後のインタビュー「とにかく前だけを向いて頑張りたい」。
試合結果を伝える記事。
この試合のスーパープレー。
Round 16(2回戦)
マカオの朱雨玲選手との対戦でした。元世界ランク1位の中国代表で2022年に引退したのですが、2024年9月にWTTチャンピオンズマカオ2024で現役復帰しています。強敵です。
仕上がりの良かった早田ひな選手でしたが、朱雨玲選手が強くて勝たせてもらえませんでした。でも早田ひな選手は出せる最大限のパフォーマンスで戦ってくれました。
- 第1ゲーム、点差の開かない展開が続きます。早田選手はレシーブから積極的だし、ミスになってもチャンスでは強打する姿勢を見せます。最近の試合では見られなかったものです。9-9からサーブ2本の展開を取り切って11-9でこのゲームをものにします。
- 第2ゲーム、強打にミスが出て3-7と大量リードされますが、そこから6連続得点して9-7とします。中陣からの力強いバックハンドは怪我からの回復が順調であることを示唆しています。10-9と先にゲームポイントを握りますが、デュースに持ち込まれます。朱雨玲選手は打ち合いに強く、12-14でこのゲームを落とします。
- 第3ゲーム、点差が開かない展開が続いて9-9まで競ります。最後サーブ2本でしたが取り切れず9-11でこのゲームも落としてしまいます。
- 第4ゲーム、朱雨玲選手が強さ、巧さを見せて4-9と大量リードされます。ここから素晴らしいパフォーマンスで7連続得点して11-9でこのゲームを取り返して絶叫します。
- 最終第5ゲーム、ややミスが増えてリードを許してしまいます。終盤に2点差まで追い上げますが、現在の実力差が表れて8-11で敗戦となりました。でも素晴らしい試合内容でした。
この試合ではバックハンドの使い方に制限をかけていないように見えました。台上バックハンドフリック(チキータ系技術)、厳しいボールのフォアハンドでの強打を改善すれば、十分勝てる相手だと思いました。
負けはしたものの、これだけのパフォーマンスを出せるほど回復できていることをうれしく思います。
フル動画。
ハイライト。
試合結果を伝える記事。
この試合のスーパープレー。
まとめ
- ドロー運が悪くR16で朱雨玲選手に当たってしまいました。強い朱雨玲選手に負けてしまいましたが、試合内容は素晴らしく、最大限のパフォーマンスを発揮してくれました。
- 朱雨玲戦ではこれまでとは違って最初からバックハンドを積極的に使っていました。怪我してから長らくかけていた制限を、外していたように見えました。
- あれだけのパフォーマンスでも勝てなかったわけですが、勝つためにはどうすればいいか、多くの収穫が得られた試合だったはずです。
これからも全力で応援します。次の大会は4月14日開幕のワールドカップマカオ2025(個人戦)です。
「身体を優先して頑張ります」
早田ひな選手はR16敗退後、インスタグラムストーリーズにファンへの感謝の気持ちと想いを投稿しました。
スターコンテンダーチェンナイで橋本帆乃香選手に負けた試合の反省を活かせたところもそうでなかったところもあるそうです。マカオに向けて「身体を優先して頑張ります」とのことです。
つまり、朱雨玲戦であれだけ激しいプレーをしても、左腕には問題なかったということです。絶対に怪我の再発だけは避けなければなりません。
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