試合でYGサーブを出す女子選手は限られています。鄭怡静選手、張本美和選手はYGサーブ使いとして知られていますが、中国人トップ選手が試合で出しているところを見た記憶がありません。
早田ひな選手は「何でもできるような選手になることが目標」と発言をしていましたが、YGサーブの習得も例外ではなかったようです。
これは早田ひな選手がYGサーブを試合で普通に出すようになるまでの記録です。
*アイキャッチ画像はこちらの記事からの引用です。
おことわり
- 素人の判断なので、「それはYGサーブじゃないよ」というのも、またその逆もあるかと思います。
- この記事では、初めて出したのは2021年9月のTリーグ、次に出したのは2023年12月のTリーグとなっていますが、認識されていないだけでその間にもどこかの大会で出している可能性は十分あります。
そういう間違いがある可能性をご了承下さい。この試合でも出してたよ、というのがあれば、教えて頂けるとうれしいです。
YGサーブとは
YGとはヤング・ジェネレーション(Young Generation)の略です。
逆横回転をかけるフォアサーブのこと。1990年代に欧州の若い世代(Young Generation)が使っていたことが名前の由来。YG、ヤンジェネとも言う。逆横回転をかけるサーブとして、巻き込みサーブも有名ではあるが、巻き込みサーブに比べて手首を使いやすいため、回転量が多くなり、強力なサーブになりやすい。
YGサーブを解説した記事。
YGサーブを出す女子選手が少ない理由
YGサーブを出す女子選手が少ないのは、身長が低いと出すのが難しいから、と言われています。
山﨑雄樹アナウンサーも実況の中で「早田ほどの長身とリストの強さがあればYGサービスは出すことができます」と解説していました。
何でもできるような選手になることが目標
2022年4月に開かれた、卓球日本代表オフィシャルユニホーム発表およびJTTAトップパートナー サプライヤー記者会見の様子です。この中で「本当に何でもできるような選手になることが、今一番目標です」と答えています。
苦手にしている技術も習得して、実戦で使えるようになりたいのだな、と思いました。
早田ひな選手がYGサーブを出した試合
時系列順に並べています。
2021年9月10日 Tリーグ 横井咲桜戦
九州アスティーダ戦の第2マッチ、横井咲桜選手との対戦で初めて出しました。これが早田ひな史上初です。
- 第4ゲームで2本出しました。2本目はサービスエラーでした。
練習し始めて2ヶ月程度で試したようです。
リザーブとして同行した東京オリンピック後に練習を始めたという、女子選手には珍しいYGサーブ(ヤング・ジェネレーションサーブと呼ばれる横回転のサーブ)も要所で試しポイントする進化も見せた。
また、次のようにも話しています。
東京五輪後に自分のサーブを見つめ直す機会を作っても良いと思い、世界選手権選考会に向けて、サーブの種類、コース、出し方、飛ばし方を見直した。その中でYGサーブを取り入れた。今はまだ安定していないが、いずれしっかり使えるように緊張した場面でも使うようにしている。
今日の試合で3本中2本点数が取れた。最後の1本は10-6でリードしていて思い切って出したら空振りしてしまった。でも競った場面で挑戦することが大事。練習してきたことを試合で使うのは不安も大きいが、3本中2本取れたのは自分の中では自信になった。
自分の中で試合の中で出せるかもと思わないと出さないタイプ。そういう感覚がついてきたので試合で出すようにした。
奇跡的にこの試合はフル動画がYouTubeで公開されています。
2023年12月24日 Tリーグ ユエン・シュエジアオ戦
トップおとめピンポンズ名古屋戦の第3マッチ、ユエン・シュエジアオ選手との対戦で、2年3ヶ月ぶりにYGサーブを出しました。
- 第2ゲームで4本出しました。
- 第3ゲームで6本出しました。うち2本はサービスエラーでした。
早田ひな選手がYGサーブを出したことについて、X(旧ツイッター)上で話題になりました。その時は、この試合で初披露したかのように思われていました。
奇跡的にこの試合はフル動画がYouTubeで公開されています。
2024年1月12日 WTTスターコンテンダードーハ2024 リンダ・ベルストレム戦
R16、リンダ・ベルストレム選手との対戦で、国際大会で初めてYGサーブを出しました。
- 第2ゲームで3本出しました。うち1本はサービスエラーでした。
2024年1月26日 2024年全日本選手権大会 芝田沙季戦
R16、芝田沙季選手との対戦で、Tリーグを除く国内大会で初めてYGサーブを出しました。
- 第5ゲーム、10-5でマッチポイントを握った場面で出し、甘くなった3球目をフォアハンドドライブで決めました。
5:50:00あたりから。
2024年1月27日 2024年全日本選手権大会 長﨑美柚戦
準々決勝、長﨑美柚選手との対戦でした。
- 第4ゲームで3本出しました。3本目はマッチポイントを握った状態で出し、最初レットになりましたがめげずに続けて出し3球目攻撃につなげました。
0:37:20あたりから。スコア4-1、8-5、10-6で出しています。
この試合の解説をされたのは森本文江さんでした。早田ひな選手がYGサーブを出すのを見たことがないと言われてましたが、2021年9月10日の横井咲桜戦を解説したのも森本文江さんだったので、その時のことを忘れてしまうぐらい、長いことYGサーブを出していなかったということでしょう。
2024年1月28日 2024年全日本選手権大会 赤江夏星戦
準決勝、赤江夏星選手との対戦でした。
- 第4ゲーム、10-3でマッチポイントを握った場面で出しましたがサービスエラーでした。
0:34:50あたりから。
2024年2月18日 世界卓球2024釜山大会 GL3
南アフリカのカラム選手との対戦でした。
- 第2ゲームで1本出しました。
- 第3ゲームで3本出しました。
2024年2月19日 世界卓球2024釜山大会 GL4
ブラジルのジュリア・タカハシ選手との対戦でした。
- 第3ゲームで2本出しました。
2024年2月22日 世界卓球2024釜山大会 準々決勝
ルーマニアのドラゴマン選手との対戦でした。
- 第4ゲームでマッチポイントを握ってから1本出しました。
2024年3月10日 シンガポールスマッシュ2024 シングルスR64
平野美宇選手との対戦でした。
- 第2ゲーム10-10で出しましたが、長くなって打たれてしまいました。
2024年3月23日 Tリーグプレーオフセミファイナル 横井咲桜戦
日本ペイントマレッツとのプレーオフセミファイナル、第3マッチの横井咲桜戦でした。
- 第4ゲームで1本出しましたが得点できませんでした。
もうサーブの選択肢のひとつとして普通に出しているようです。
他のYGサーブの使い手
杜凱琹選手
香港の杜凱琹選手はYGサーブの使い手として有名です。身長は166cm。勝負どころに限らず、普通にバンバン出す印象です。
サラ・デヌッテ選手
ルクセンブルクのサラ・デヌッテ選手はサーブが多彩なことで知られていますが、YGサーブも多用します。身長は166cm。
張本美和選手
張本美和選手は勝負どころでYGサーブを出してくる印象です。試合の展開次第でしょうか。身長は166cm、やはり長身です。
ソフィア・ポルカノバ選手
オーストリアのソフィア・ポルカノバ選手もYGサーブを普通に出します。身長は180cm、余裕ですね。
アネット・カウフマン選手
ドイツのアネット・カウフマン選手はYGサーブを多用します。パリオリンピック団体戦の準決勝で張本美和選手を苦しめました。身長は脅威の183cm。
ブルーナ・タカハシ選手
ブラジルのブルーナ・タカハシ選手はたまにYGサーブを出します。身長は180cm。
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