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早田ひな選手が武器にしているハイトス(投げ上げ)サーブ

早田ひな選手は試合・ゲームの後半でハイトス(投げ上げ)サーブを出すことが多いです。いきなり出されるとタイミングが取りづらくて、攻めたレシーブをしにくい効果があると言われています。が、競った展開が続いたにも関わらず1本も出さずに試合に勝つこともあります。

ゲームの入りはロートスサーブで始めることが多いのですが、3ゲームぶっ通しで出し続けた特徴的な試合もありました。またパリオリンピックの3位決定戦の第6ゲームは、最初から最後までハイトスサーブでした。その使い方から、早田ひな選手はハイトスサーブを武器にしていると思われます。

*アイキャッチ画像はこちらの記事からの引用です。

ハイトスサーブとは

サーブのトスは台より上の位置を起点に、ボールが手のひらから離れて16cm以上、ほぼ垂直方向に投げなければいけません。16cm以上であれば、天井ギリギリの高さまで上げることができます。このルールを活かして、トスで数メートル以上投げ上げてから打球するのが、ハイトス(投げ上げ)サーブです。

ハイトスサーブを出す選手はそこそこ存在し、早田ひな選手もそのひとりですが、中国四天王が試合で出しているところを見たことがありません。ハイトスサーブを自身の得意なサーブにするかどうかは、選手次第ということでしょう。

ハイトスサーブのメリット

投げ上げたボールはその頂点から自由落下しつつサーバーの打球点に戻ってきます。空気抵抗を無視すると、次のようにトスの高さで落下速度が変わります。

トスの高さとボールの落下速度

打球点におけるボールの速度を高めることで、ボールにより多くの回転をかけることが可能になります。

また、ロートスとハイトスではレシーバーから見てサーブのタイミングが変わることから、ふいにハイトスサーブを出されると攻めたレシーブがしにくくなるという効果も期待できます。

ハイトスサーブのデメリット

打球点におけるボールの速度が上がること、落下するボールの軌道がズレやすくなることから、正確なコントロールが難しくなります。

また高く投げ上げたボールの軌道を目で追う必要があるため、照明が目に入って邪魔されないか注意する必要があります。

早田ひな選手のロートスサーブ

早田ひな選手は通常のサーブ以外に巻き込みサーブを良く出しますし、たまにYGサーブ、バックサーブ、トマホークサーブを出します。それらのトスはみな低いです。

通常のサーブはロートスが基本で、これぐらいの高さが標準的です。サーブの姿勢で頭数個分上です。

まれに頭の高さぐらいの低めのトスにすることもあります。

早田ひな選手のハイトスサーブ

台上2.5m程度の高さまで投げ上げているように見えます。

ハイトスロングサーブがオーバーミスになったプレー。

早田ひな選手のハイトスサーブの使い方

印象としては、早田ひな選手は効いているサーブを使い続ける傾向があるようです。ハイトスサーブをどう使うかは対戦相手、試合の状況、流れなど簡単には説明できない理由で変わるはずです。

試合・ゲームの後半で使う

最も多く見られるの、試合・ゲームの後半で使うパターンです。出し始めるとしばらく続け、次のゲームの頭からはロートスサーブに戻すことが多いです。

ゲームの序盤から使うことも

僕が生涯忘れることのできない試合のひとつに、この田志希戦があります。

この試合ではゲームの序盤からハイトスサーブを出しました。そして0-3と追い込まれた第4ゲームからは、ほぼ巻き込みサーブだけを出し続け、4-3で勝ちました。

一度も使わずにストレートで勝ったことも

第5回パリオリンピック選考会の決勝戦では、伊藤美誠選手相手にハイトスサーブを一度も出すことなく、ストレートで勝っています。

あの展開でハイトスサーブを一度も出さなかったのには、相応の理由があったのでしょう。

負けそうだった袁佳楠選手戦では

袁佳楠選手と初対戦した時、バックハンドが合わなくて2ゲームを連取されてしまいました。第3ゲームの2本目からハイトスサーブだけを、最後勝つまで出し続けました。その日勝つにはハイトスサーブしかないと判断したかのようでした。

袁佳楠選手とはパリオリンピックのR16で再戦してストレート勝利でしたが、4ゲームとも入りはロートスサーブで、後半ハイトスサーブに切り替えるパターンでした。

パリオリンピックの3位決定戦では

パリオリンピックの3位決定戦では、第5ゲームまではゲーム後半でしかハイトスサーブを出しませんでした。が、第6ゲームでは最初からハイトスサーブを出し続け、10-7で迎えたブロンズメダルポイントではハイトスロングサーブでエースして、銅メダルを決めました。

ハイトスサーブはコントロールが難しいと言われます。左腕を怪我した状態でハイトスサーブに賭けるには、いつも以上に勇気を振り絞る必要があったと思われます。

ハイトスサーブを良く使う選手

袁佳楠(ユアン・ジアナン)選手

フランスの袁佳楠選手のサーブはほとんどがハイトスサーブで、たまにバックサーブを出します。ハイトスサーブの高さは女子選手の中で1番でははないかと思われます。

次の動画からは台上4m程度の高さまで投げ上げていることが分かります。

試合動画のほとんどは軌道の頂点が見切れてしまっています。

珍しいアングルで撮られたプレー。

シャン・シャオナ選手

ドイツのシャン・シャオナ選手のサーブはほとんどがハイトスサーブです。3.5m以上投げ上げているように見えます。同じフォームでトスの高さを低めにすることもあります。

こちらの試合動画からハイトスサーブのシーンを切り出して、シャン・シャオナ選手と早田ひな選手のトスの高さを比較しました。

シャン・シャオナ選手と早田ひな選手のハイトスサーブのトスの高さの比較

袁佳楠選手ほどではないものの、シャン・シャオナ選手は高く投げ上げていますね。

ブルーナ・タカハシ選手

ブラジルのブルーナ・タカハシ選手はハイトスサーブを出すことが多いです。3m程度投げ上げているように見えます。

徐孝元(ソ・ヒョウォン)選手

韓国の徐孝元選手はカットマンで、ハイトスバックサーブを多く出します。そのトスの高さも頻繁に変更します。最高で3mを超えているように見えます。

こちらの試合動画からハイトスサーブのシーンを切り出して、徐孝元選手と早田ひな選手のトスの高さを比較しました。徐孝元選手のボールは画角の外に出て戻ってきたものです。

橋本帆乃香選手

カットマンの橋本帆乃香選手はバックサーブを多く出します。通常は頭上頭数個分の高さです。

1ゲームに1本ぐらい、ふいにロートスで出します。

同様に、ふいにハイトスで出します。その頻度が少ないので、レシーバーをびっくりさせるはずです。

石川佳純選手

石川佳純選手もハイトスサーブの使い手でした。その高さも変えていましたが、最高でも早田ひな選手と同じぐらいに見えます。

こちらの試合動画からハイトスサーブのシーンを切り出して、石川佳純選手と早田ひな選手のトスの高さを比較しました。

ハイトスサーブのシーンを切り出して、石川佳純選手と早田ひな選手のトスの高さを比較したもの

同じぐらいの高さまで投げ上げています。

参考動画

坂本竜一さん(現在ミキハウスのコーチ)による、トスの高さで回転量が変わることを説明した動画。

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